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自己資本比率の推移は「自社の成長記録」です

2026年7月13日

会社の成長をはかる尺度は、売上高の増加だけではありません。これまでの経営努力の積み重ねを知る手がかりの1つとして、自己資本比率の推移を確認してみましょう。そこから自社の経営の「あゆみ」が、見えてきます。

利益を出し、納税はしているけど・・・会社の経営、このままでいいの?

創業20年の製造業を営む山田社長。村田税理士による決算報告会の後、山田社長が日頃抱いている素朴な疑問について話題に上りました。

 


  • 社長
  • 山田社長創業から20年を迎え、売上も好調で、今年も黒字で決算を終えられたのはうれしいことだけれど、納税額もそれなりの金額ですね。今後も利益を出して納税していくことが果たしていいのかなと...

  • 税理士
  • 村田税理士せっかく利益を出して資金を蓄えても納税で減ってしまう―そのお気持ちは、とてもよく分かります。そんな社長の不安な気持ちに答えてくれる指標の1つが、自己資本比率Pointの推移です。
    毎月、スマホにお届けしている「月次決算速報サービス」Point2の画面を開いて、「自己資本比率の推移グラフ」を見てください(図表)。「過去10期分+当期分」の自己資本比率の推移を見ると、2019年まで順調に上昇していましたが、同年をピークに2020年には大きく落ち込んでいます。

  • 社長
  • そうそう。新型コロナウイルス感染拡大の影響をもろに受けてA売上が急減したときでした。資金繰りが厳しくなって、緊急融資を受けてなんとかしのいだけど、結局、赤字決算になってしまったんです。

  • 税理士
  • 赤字は、自己資本を減少させる要因の1つです。ただ、2021年以降、自己資本比率は着実に上向いており、2019年の水準にまでほぼ回復してきています。

  • 社長
  • コロナ禍で受注が減ったこともあって、生産体制を見直したり、外注費や固定費を抑えたりしましたからね。当時を教訓に、あれこれ手を広げるのではなく、主力製品を中心に、採算の取れる仕事を大事にするようにしています。

  • 税理士
  • 社長、それは当時の厳しい状況の中で、素晴らしい経営判断をされたと思います。その後も本業を大事にしつつ、しっかりと経営改善に取り組まれ、利益をきちんと確保されてきました。そのような努力の積み重ねが、自己資本比率の改善という成果として表れているのです。

 


長期的な自己資本比率の上昇が経営の安定性と自由度を高める


  • 社長
  • 確かに、あのときは必死でしたが、こうして見ると、その努力が実を結んできたということかな。

  • 税理士
  • 過去10期分の自己資本比率の推移を見ても、浮き沈みはあったものの、着実に右肩上がりで推移していることが分かります。これは、安定した黒字経営を続け、きちんと納税して利益を積み重ね、経営基盤を着実に強化してきた証、いわば「自社の成長記録」です。
    赤字経営が続けば、自己資本比率は低下傾向となり、借入金依存体質に陥り、経営基盤の弱体化を招いてしまいます。
    大切なのは、一時の上下に一喜一憂することなく、自己資本比率の推移を長い目で見ながら、着実に積み上げていくことです。

  • 社長
  • 納税しながらでないと、自己資本比率を高めていけないことがよく分かりました。これまでと同じように、少しずつ地道に進んでいきます。

  • 税理士
  • その意気です!納税ができてこそ自己資本(繰越利益剰余金)が増えていくんです。自己資本比率が高まれば、借入れに過度に依存しない経営ができるようになります。これは、新たな取り組みをしたいときや想定外の環境変化があったときでも、資金繰りを気にせずに必要な打ち手を選べるということ。つまり、「経営の自由度」が高まるということでもあります。
    これからも全力でサポートいたしますので、一緒に頑張りましょう。

自己資本比率とは

「自己資本比率」とは、総資本(負債+純資産)に占める自己資本(純資産のこと)の割合です。「財務の健全性」や「経営の自由度」を示す指標として用いられます。自己資本比率が高いほど、借入金の返済負担が少なく、自社の資金で経営できているため、経営が安定しているといえます。環境変化や不況にも耐えられる体質になります。
優良企業といわれるための自己資本比率の目標値としては、一般的に「30%以上」とされています。

 

「月次決算速報サービス」10期分の自己資本比率が一目瞭然!

自己資本比率の推移は、会社の「あゆみ」そのものを映し出すものです。月次決算実施後(会計事務所による月次巡回監査終了後)に、限界利益率や自己資本ホに届くTKCの「月次決算速報サービス」。同サービスでは、自己資本比率の「過去10期分+当期分の推移」をグラフで直感的に確認することができます。加えて、各事業年度における自己資本比率・自己資本の額総資本の額を一覧表示。どの時期に「力を蓄えたか」「攻めたか」といった自社のあゆみを、感覚ではなく、「数字」で振り返ることができます。