原町田中央事務所
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長引く物価高をふまえ、令和8年度税制改正により、「食事支給に係る所得税の非課税限度額」が42年ぶりに見直されます。「第3の賃上げ」ともいわれている、従業員等への食事支給。改正のポイントをおさえ、自社の福利厚生の充実に役立てましょう。
※本欄は、「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)を基に作成しています。
福利厚生の一環として、従業員等に対して弁当等の食事支給を行っている企業も少なくありません。企業が従業員等へ食事を支給したとき、原則は現物給与として課税されます。ただし、次の2つの要件をいずれも満たしていれば、従業員等の給与として課税されません。
① 従業員等が食事価額の50%以上を負担していること。
② 企業負担額(=食事価額-従業員等が負担している金額)が、月額3,500円以下(消費税額を除く)であること。
令和8年度税制改正により、食事支給に係る所得税非課税限度額(=企業負担額の上限)が「月額3,500円以下」から「月額7,500円以下」に引き上げられます。
改正前の非課税限度額「月額3,500円」は、昭和59年(1984年)の物価水準を根拠として設定されたもの。「現在の物価水準と乖離している」との指摘もあり、42年ぶりに、非課税限度額が大幅に引き上げられることとなりました。
あわせて、深夜勤務(午後10時~午前5時)に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭について、所得税が非課税とされる1回の支給額が、「300円以下」→「650円以下」(消費税額を除く)に引き上げられます。
食事支給は、定期昇給やベースアップに続く「第3の賃上げ」ともいわれます。実質的な手取りアップとなるため、従業員満足度の向上や人材の定着が期待できるほか、採用活動でも「社員を大切にする会社」との印象を応募者に与えることにつながります。現在では仕出し弁当のほか、特定の提携飲食店等で使える食事券・電子カード、設置型の社食サービス等、食事支給の形態も広がりを見せています。ただし、いずれの場合も図表(2頁)の要件を満たしていなければ「給与」とされます。源泉徴収事務の誤りにもつながるため、負担割合等についてはよく確認しましょう。
給与は、金銭で支給されるのが一般的ですが、次に掲げるような物または権利その他の経済的利益をもって支給されることがあります。
物品その他の資産を無償または低い価額により譲渡したことによる経済的利益、土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価により貸し付けたことによる経済的利益、福利厚生施設の利用など上記以外の用役を無償または低い対価により提供したことによる経済的利益、個人的債務を免除または負担したことによる経済的利益——これらの経済的利益を一般に「現物給与」といい、原則として給与所得の収入金額とされます。
ただし、現物給与には、①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者側に物品などの選択の余地がないものなど、金銭による給与と異なる性質があり、また、⑤政策上特別の配慮を要するものなどもあるため、特定の現物給与については、課税上金銭による給与とは異なった特別の取り扱いが定められています。例えば、食事の現物支給や商品の値引販売等がこれに該当します。
企業が従業員等に食事を支給したときの「食事の価額」とは、次のことをいいます。なお、「消費税の額を除いた額」で判定されます。
(1)弁当等を購入して支給している場合:業者に支払う購入金額
(2)社員食堂等で会社が作った食事を支給している場合:食事の材料費や調味料等、食事を作るために直接かかった費用の合計額
上記の要件を満たしていなければ、食事の価額から従業員等の負担している金額を控除した残額(=企業負担額と同額)が給与として課税されます。
・弁当の価額:800円(税抜)
・従業員負担額:350円
・企業負担額:450円
・1か月の支給日数:20日
(800円-350円)×20日間=9,000円
従業員負担額が食事価額の50%を下回っているため、従業員負担額を差し引いた9,000円分が「給与」として課税されます。
・弁当の価額:800円(税抜)
・従業員負担額:450円
・企業負担額:350円
・1か月の支給日数:20日
(800円-450円)×20日間 = 7,000円
従業員負担額が食事価額の50%超であり、企業負担額が7,000円<7,500円であるため、7,000円分が「福利厚生費」として処理できる