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会社経営には、さまざまなリスクがつきもの。特に、労働災害等の「ヒト」資産の故障・盗難等の「モノ」、取引先の倒産や損害賠償の支払い等の「カネ」に関わるリスクについては、自社に起こり得るケースとその対策をあらかじめ考えておくことが重要です。
経営を安定させるためには、自社をとりまくさまざまな「リスク」を想定し、その対策を考えておくことが大切です。
例えば、自社の従業員が作業中に負傷して、入院してしまった場合を想定してみてください。本人が心身に負ったダメージへのケアはもちろんのこと、労災申請手続きのサポート、労働基準監督署への報告、労働力不足の補てん策の検討など。1つのリスクを考えてみても、企業側がとるべき対応はたくさんあることが分かります。
こうした労働災害をはじめ、企業経営にはさまざまなリスクがつきものです。経営者として、リスクに対する不安をなんとなく感じてはいるものの、具体的な対策はとれていない、という方も多いのではないでしょうか。
この機会にぜひ、リスク対策について考えてみましょう。その第一歩として取り組みたいのが、「リスクの洗い出し」です。大まかに「ヒト・モノ・カネ」のジャンルに分けて考えることができます。
企業をとりまくリスクはさまざまですが、「ヒト・モノ・カネ」に関わる代表的なものをピックアップ自社におけるリスク対策の優先順位をつけてみてください。
「ヒト」のリスク
・経営者自身の病気・事故
・感染症の流行
・従業員の労働災害(病気・事故・メンタル等)「モノ」のリスク
・自動車やPC等業務に使う機器の故障・破損
・自然災害(水害、地震等)
・所有資産の消失「カネ」のリスク
・取引先の倒産、貸倒れ
・製品やサービスの不具合、個人情報の漏えい等に対する損害賠償
・為替変動リスク
特に意識したいのは、病気や事故等に起因する経営者自身が不在となることのリスク。中小企業では、経営者は文字通り「会社の顔」であるため、そうした事態は殊更、事業の存続や成長に深刻な影響をもたらします。その他のリスクについても、図表を参考に、自社の実態を考慮しながら、どのような危機が起こり得るかを想定してみましょう。
こうした「自社の実態の把握」は難しいと思われるかもしれませんが、実は日々の記帳と月次決算、そして会計事務所による月次巡回監査が、リスク管理のための基礎となります。例えば、固定資産台帳を見れば、いま、どんな資産をどれだけ会社が所有しているか、それらが消失等したときどんなリスクが想定されるかといったことを考えるヒントになります。また、決算書を見れば、長期滞留している売掛金がどれだけあるか(=回収できていない売掛金がどれだけあるか)、つまり、業績が厳しくなってしまった取引先がどれだけあるかなど、取引先の倒産リスクを想定するベースとなります。
このように、会計データは会社のリスクを考えるときの貴重な情報源となるのです。
なお、リスク対策として、生命保険や損害保険へ加入する(「リスクの移転」を図る)ことも選択肢の1つです。自社の資産や財務状況を把握し、適切なコストで適正な保障が得られるよう、慎重に検討しましょう。
近年は紛争やテロの勃発等、世界情勢の不安定化によるリスクも懸念されます。原材料を特定の国のみから仕入れている企業や、燃料費の支出が多い企業などは、こうした点にも目を向けておくことが必要です。
自社が抱えるリスクについて、一度洗い出してみませんか?その上で、どんな対策が考えられるか、会計事務所と一緒に検討してみましょう。