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「福利厚生費」は、従業員への慰労や生活の充実等のために要する費用で、税務上、一定の要件を満たすことが必要となります。その要件を満たしていない場合、給与として取り扱われる可能性がありますので注意が必要です。
「福利厚生費」には、「法定福利費」と「法「定外福利費」があります。「法定福利費」は、社会保険料などの会社負担が義務付けられている費用で、「法定外福利費」は、従業員やその家族のために企業が任意で設ける福利厚生のための費用です。
一般に「福利厚生費」といえば、この法定外福利費を指すことが多く、次のようなものが該当します。
福利厚生費(法定外福利費)の例
- 社宅の提供
- 社内レクリエーション(社員旅行など)
- 食事代の補助、食事の提供(まかない、仕出し弁当の提供等)
- 健康診断・人間ドックの費用
- 通勤費
- 慶弔見舞金
- 自社商品・サービスの社員割引
- 育児・介護サービス費用の補助
など
税務上、福利厚生費として認められるためには、次の要件を満たす必要があります。
1.全従業員が対象であること
2.現金や換金性の高いものの支給ではないこと
3.社会通念上妥当な金額であること
※福利厚生に関する規程を定め、社内に周知しておくとよいでしょう。
会社が所有する住宅、または会社が家賃を支払って借り上げた住宅を、従業員に対して社宅・寮として提供する場合、従業員から賃賃料相当額の50%以上を受け取っていれば、残りの会社負担分は福利厚生費になります。従業員の負担割合が50%未満や無償であれば、企業負担分はその従業員への給与として取り扱われます(図表1)。
従業員の慰安やレクリエーションを目的として行われる社員旅行については、次の要件をいずれも満たしていれば、原則として、その費用は福利厚生費になります。
①4泊5日以内(海外旅行は現地での滞在日数)の旅行であること
②全従業員を対象とした旅行で、参加人数が職場全体の50%以上であること
旅行先で、一部の従業員のみが参加して会社負担でゴルフコンペを行った場合の費用は、給与として取り扱われます。
なお、取引先の接待、慰安等のための旅行は交際費に該当します。
創業記念品の支給、永年勤続者に対する報奨(記念品の支給・旅行や観劇への招待など)の費用は、次の要件をいずれも満たしていれば福利厚生費となります。
【創業記念品の場合】
①支給する記念品が、社会一般的にみて記念品にふさわしいものであること
②記念品の処分見込価額による評価額が10,000円以下(税抜)であること
③一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること
【永年勤続者への報奨の場合】
①その費用が、その人の勤続年数や地位などに照らして社会一般的にみて妥当な金額以内であること
②勤続年数がおおむね10年以上である人を対象にしていること
③同じ人が2回以上表彰を受ける場合は、おおむね5年の間隔が空いていること
ただし、記念品の支給や旅行観劇等への招待の費用に代えて、現金や商品券などを支給する場合は、その全額(商品券の場合は券面額)が給与扱いとなります。
全従業員を対象にした健康診断を実施する場合、その費用を会社が病院等へ直接支払う、または従業員が費用を立て替え、後日、精算するのであれば、その費用は福利厚生費になります。
ただし、一般的な健康診断を超え、費用が高額になるものは給与として取り扱われます。
従業員に食事を支給(まかない、仕出し弁当の提供等)する場合、次の2つの要件を満たせば福利厚生費となります。
①従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
②会社負担分が1か月あたり3,500円(税抜)以下であること
また、上記の要件を満たせば、食事に限定したチケットを配付する場合も福利厚生費になりますが、食事手当として現金支給すると給与になります。