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インボイス制度の導入によって、正確な会計処理を行う上で必要不可欠となったのが、自計化システムの導入と、取引先およびそのインボイス番号の管理です。同制度導入を機に、せっかく整備した取引先情報をもっと有効に活用することで、経営の
「解像度」を上げることができます。
決算書や試算表を見ていて、「表示されている勘定科目の中身をもっと細かく、リアルタイムで確認したい」と思ったことはありませんか。インボイス制度を機に定着した取引先別管理を、会計処理だけでなく経営分析にも活かしてみましょう。採用した自計化システムの主要勘定科目(売掛金、買掛金、売上高、売上原価、経費科目等)について取引先別管理を行うと、自社の取引状況や債権・債務の取引先別の残高確認が容易にでき、経営課題や売上・利益アップのヒントをいち早く見つけられるようになります。
まずは売掛金・未収金等の債権や、買掛金・未払金等の債務の勘定科目について取引先別管理を導入してみましょう。自計化システムで管理すれば、個別台帳や集計表での残高管理が不要に。しかも、入金/支払タイミングも含めてタイムリーに管理できるようになるので、業務の省力化・効率化にもつながります。
売上高の取引先別管理を行うことで、どの取引先が、自社にどれほどの売上をもたらしてくれているのか把握できれば、「本当に重視すべき取引先(得意先)」が自計化システム上で確認できるようになります。売上が減少している取引先については、その原因を探り、取引の回復ができないか、打ち手を検討してみましょう。また、取引先の偏りがないかどうかもチェックすることが大事です。「1社依存」を容認してしまうと、取引の減少が、即「致命傷」となることも考えられます。万が一の場合に備えて、複数の取引先を確保することは経営リスクを軽減する観点からも重要です。売掛金と売上高の取引先別管理を導入すれば、「得意先順位月報」で取引先別の詳細な分析ができるようになります。
売上原価・製造原価の勘定科目についても取引先別管理を導入しましょう。商品仕入高・材料仕入高・外注加工費等、支出科目について取引先別の取引金額がリアルタイムで確認できます。近年は資源高や円安等の影響もあり、仕入価格は上昇傾向にあります。どの仕入先にどれくらい支払っているのか、その推移はどうなっているかをチェックすることで、適正な発注量を確認することができます。
あわせて、仕入先・外注先に偏りがないかも確認しましょう。あまりに偏っていると、万が一の場合に仕入ルートがなくなってしまう事態にもなりかねません。その場合には、
①納期に間に合わない
②通常の仕入価格よりも高い価格での仕入を余儀なくされる
ー等のリスクも考えられます。日頃から複数の仕入先を確保しておくことも視野に入れると良いでしょう。
経費科目のうち、常に支出内容を確認したい勘定科目についても取引先別管理を導入しましょう。例えば、発送配達費は製品・商品の価格設定にも影響するため、どの発送業者にいくら支払っているかを把握しておくことは重要です。現在は「物流の2024年問題」もあり、発送配達費は上昇傾向にあります。また10月からは郵便料金も大幅値上げとなります。
広告宣伝費についても取引先別管理を導入すると、発注業者ごとの支払状況を確認することができるので、有効な広告手段だったかどうかを検討することが可能になります。また、接待交際費についても取引先別に洗い出してみましょう。そのうえで売上高への、貢献度と対比させてみると、効果的な使い方が見えてくるはずです。
売掛金や買掛金以外の貸借対照表の主要勘定科目についても、取引先別管理や口座別管理を導入しましょう。決算書の勘定科目内訳明細書を見ないと詳細がわからなかった会社の資産や負債の内容が、自計化システムを活用することで、リアルタイムで把握できるようになります。経営の「解像度」をぐっと高めることができる、主要勘定科目の取引先別管理。自計化システムを活用して取り組んでみましょう。
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