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こんなときどうする?災害時の税務上の取扱い

2024年9月16日

夏から秋にかけては台風シーズン。風水害や地震等により法人の資産が被害を受けたときの損害額や復旧費用、被災した従業員や取引先を支援したときの支出等の多くは、当期の費用や損失として損金とすることができます。

被災した自社の資産の撤去や修理等を行ったとき

(1)災害で資産が滅失・損壊した

法人の商品、原材料等の棚卸資産や、店舗、事務所、工場、備品、車両等の固定資産が被災したことによる損害額は、評価損や除却損として損金にすることが認められます。被害を受けた店舗・事務所等の取壊しや除去のための費用、土砂等の障害物を除去するための費用も同様です。

(2)被災した資産を復旧させた

法人の被災した固定資産(被災資産)に対する支出については、その内容によって、資本的支出として資産計上すべきものと、修繕費として損金にできるものがあります。被災資産の修繕に代えて新規に資産を取得したときは、その取得費用は固定資産として資産計上します。一方、被災資産の原状回復のための費用は修繕費とする処理が認められます。被災資産については、次のような支出も修繕費として処理することが認められます。

1.被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止等のための支出(例:地震により地盤沈下や地割れした土地への地盛り、二次災害の回避のために耐震性を高める補強工事等)

2.被災資産についての支出が修繕費か資本的支出かが明らかでないとき、その支出金額の30%相当額(残額を資本的支出として処理する必要があります)

被災した従業員や取引先等を支援したとき

法人が取引先の売上債権を免除したり、慶弔等に際して金品を贈ったりした場合、通常は寄附金や交際費等に該当します。ただし、被災した取引先に対して、取引関係の維持、回復を目的とした復旧支援やお見舞いのための支出等は、費用や損失として損金算入することが認められます。災害時によくあるケースを確認してみましょう。

case1.被災した自社の従業員等へ災害見舞金品を支給した

被災した自社の従業員やその親族等に対して、慶弔規程などの合理的な基準に基づき支給した災害見舞金品は、福利厚生費になります。これは、自社の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等やその親族等に支給する災害見舞金品についても同様です。

case2.取引先等へ災害見舞金等を贈った

被災して通常の業務ができなくなった取引先に対して、取引関係の維持や回復のために災害見舞金等を贈ったときは、その支出は交際費等に該当せず、損金算入が認められます。
ただし、法人が被災した取引先の役員や従業員個人に対して支出する災害見舞金等は、交際費等になります。これは、取引先救済のための費用には該当せず、慰安や贈答に該当する費用として考えられるためです。

case3.被災地に自社製品等を贈った

食品や衣料品メーカーなどが、不特定または多数の被災者を救援するために自社製品等を提供したときは、広告宣伝費に準ずるものとして損金算入することが認められます。

case4.取引先等へ事業用資産を供与した

ケース②と同様に、被災した取引先へ事業用資産を供与した場合も、その支出は損金算入することが認められます。供与する事業用資産は、自社が製造した製品等だけでなく、他から購入した物品でも構いません。また、その資産が取引先の事業に利用されるもののほか、取引先の従業員等の福利厚生の一環として利用されるものも含まれます。なお、取引先の役員や従業員個人へ資産を供与した場合は交際費等になります。

case5.取引先の売掛金等を免除した

被災した取引先の復旧支援のために売掛金や貸付金等の債権をその復旧過程期間内に免除したとき、その免除による損失は、寄附金や交際費等以外の費用として損金算入することが認められます。災害時の税務上の取扱いについて、詳細は国税庁Webサイトも参考にしてください。判断に迷われた際は、当事務所までご相談ください。

【参考】
災害への備え!防災用品の購入費用は「経費」になるか?

近年は集中豪雨や台風、大きな地震が各地で発生し、その被害も甚大です。災害発生時の緊急避難や帰宅困難時の備えとしで防災用品や非常用食料等の備蓄は欠かせないものとなっています。
9月1日は「防災の日」です。防災用品等の備蓄を検討してはいかがでしょうか。

●防災用品等の購入費用は、税務上、損金とすることが可能

1.毛布や懐中電灯、ヘルメット等の防災用品は
、本来繰り返し使えるものですが取得価額10万円未満のものであれば、少額の減価償却資産としで購入した事業年度に全額を損金算入できます。

2.非常用の食料・飲料水の購入費用は、備蓄8寺に事業供用があったものとして消耗品費とすることができます。

3.「防災用品」として備蓄・管理していることが必要です。