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令和6年4月からスタートした時間外労働の上限規制の強化により、「労働時間の管理」や「残業のあり方」にあらためて焦点が当たっています。従業員への給与の支払いを適切に行うためにも、「残業手当」の支給に関して、あらためて確認しておきましょう。
残業手当は、会社が定めた「所定労働時間」を超えて労働させた場合に従業員に支給する賃金のことで、時間外労働手当とも呼ばれます。「法定労働時間(1日8時間、1週40時間)」を超えて労働した従業員に対して、会社は割増賃金を支払わなければなりません。また、深夜や休日の労働には、別途割増賃金を支給する必要が生じます。残業手当の計算は、1時間あたりの賃金額を求めることから始めます。月給制の場合、計算式は次のとおりです。
月給額(各種手当を含んだ合計)÷1年間における1か月平均所定労働時間数
※家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当(それぞれ一律に支給されるもの等を除く)、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金については含まれません。
この額に法で定められた割増率を掛けて、1時間あたりの残業手当を計算します。所定労働時間外に行わせた労働に対して、賃金または割増賃金を支払わないことは「賃金不払残業」といい、労働基準法違反となります。適切な労働時間管理を心がけましょう。
賃金不払残業の防止と、残業手当計算の事務負担の軽減のために、「固定残業代」制を導入するのも1つの手段です。固定残業代とは、一定時間分の時間外労働、深夜労働および休日労働に対して定額で支払われる割増賃金のことです。基準の残業時間に満たなくても一定額が支給されるため、なるべく固定残業代の基準時間以内に収めようと、労働者が自発的に残業を減らす行動をとることも期待できます。
ただし近年、固定残業代をめぐるトラブルが増えています。固定残業代を導入する場合は、就業規則、雇用契約書、給与明細等の整備が必要です。また、募集要項や求人票などに、次の全てを明示しましょう。
●固定残業代を除いた基本給の額
●固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
●固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
残業手当が支払われないと、従業員の離職につながるだけでなく、訴訟に発展してしまうおそれもあります。「労働の対価」という考え方のもと、適切に支給しましょう。そもそも、労働基準法における残業とは、会社からの命令に基づき行われるものです。残業をする際は上司等からの事前承認を得ることで、不必要な残業の抑制につなげている企業もあります。
また、「なぜ残業が生じているのか」をあらためて考える機会をつくることも必要です。働き方改革が進み、ワークライフバランスが重視される昨今。残業時間の削減は、従業員の満足度向上や定着、採用の強化などにつながります。デジタルを活用した業務の効率化などによる「残業ありきの働き方」の見直しもあわせて進めましょう。
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