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「値決めは経営」と言われるほど、経営において重要な位置を占める価格設定。さまざまな情報を基に、製品・サービス等にかかるコストと適正な利益を踏まえた適切な価格を設定し、必要に応じて価格交渉に臨むことが、何よりも大切です。
資源価格や原材料価格の高騰を受け、製品・サービス等のコストが上昇傾向にあります。
加えて、賃上げ機運の高まりもあり、人件費の増加も見込まれます。適正な利益を確保し、日頃、頑張ってくれている従業員に報いるためにも、適切な「値決め」がますます重要になっています。
一方で、「コスト上昇分を価格に転嫁したいが、なかなかできない」「取引先の大手企業とは、交渉が難しい」「付き合いの長い取引先だから値上げがしづらい」と悩まれている社長も多いのではないでしょうか。
値決めは、社長がやるべき重要な仕事の1つです。会社の将来のためにも、自社の値決めの方針についてあらためて考えてみましょう。そのポイントは、次の3つです。
製品・サービス等に必要な原材料費、燃料費人件費、輸送費等のコストをあらためて計算し、そこに適切な利益を加えた値決めとなっているか見直してみましょう。
コスト・利益を踏まえた値決めの例
- 提供に手間・時間がかかる製品・サービス等の値上げ
- アフターサービスや送料など無償のものの有料化
- 値引き幅の縮小や値引きの取りやめ
- 原材料費・輸送費等の値上げ分の転嫁
コストの中で、特に重視すべきなのは原価です。その適切な把握のためには、日頃から業界紙や専門誌、業界団体のWebサイト等から、原価に影響するデータを収集しておくことも重要です。
なお、原材料等の価格推移を追う際には、省庁等が公表する次のような公的データも参考にするとよいでしょう。
自社の製品・サービス等のどこに強みがあるか見つめ直してみましょう。
同じ製品・サービス等でも、目線を変えてみること囮皿新土な価値や用途の発見につながり、顧客からすればそれがとても魅力的に映る、ということはよくあります。
例えば、甲冑の製造・販売をしているあるメーカーでは、甲冑を美術工芸品として捉えていましたが、イベントなどで実際に甲冑を着てみたいというニーズがあることに気づきました。そこで新たに甲冑のレンタル事業を始めて成功しました。
また近年では、コンプライアンス意識の高まりから、価格以上に、品質・納期や安定供給等を重視する傾向が強くなってきています。
取引先が自社の何を評価しているのか、あらためてヒアリングするなどして知ることも必要です。自社の強みを活かせるよう、価格や販売構成等を見直しましょう。
強みを活かした値決めの例
- 他社より優位性がある製品・サービス等の値上げ
- リニューアルや新機能の追加で従来品の付加価値を高めての値上げ
- 付属品やオプションなどの別料金化
必要に応じて、取引先との交渉に臨みます。その際は、製品・サービス等の付加価値アップや構成の見直しをした上で、価格改定について理解いただくようにしましょう。例えば、売上構成が低い取引先や業績が好調な取引先等、交渉しやすいところから始めることが考えられます。
交渉にあたっては、「厳しいから値上げさせてください」とお願いするのではなく、例えば、次のように資源価格や原材料価格の値上がり幅などについて、具体的なデータを示しながら説明するよう心がけましょう。
具体的なデータを基にした説明の例
原材料の00が5年前と比べてXX%、燃料コストがXX%値上がりしております。
これまで自社の努力で吸収してきましたが、さらなる値上がりが予想されるため、次回納品分からxx円値上げさせていただきたく、お願い申し上げます。
交渉時には、単に価格のことだけを話すのではなく、リニューアルや機能強化など、製品・サービス等の見直しについても、合わせて提案することが重要です。
より多くの利益を確保できれば、従業員の待遇改善や人材採用を有利に展開できる原資にもなります。自社の製品・サービス等に適切な価格をつけられるよう、値決めについて今一度考えてみましょう。
【参考】飲食業に追い風!交際費等から除かれる飲食費の上限が1万円に引き上げ
令和6年度税制改正により、交際費等から除外される飲食費の金額基準が「1人あたり5千円以下」から「1人あたり1万円以下」に引き上げられました。これは、飲食店の利用者側だけでなく、飲食店経営者にとっても非常にメリットのある税制改正といえます。
これまで飲食店では、接待等のために飲食店を利用する企業向けに、5千円以下に抑えたコース料理を設定するなどの対応をしてきたかもしれません。それが、これからは5千円~1万円の価格帯のコース料理の新設など、原材料等の値上がりも踏まえて価格やメニューをより工夫できる余地が広がりそうです。
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