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従業員の残業時間を正しく把握していますか?

2024年4月22日

令和2年から行われている中小企業の時間外労働(残業)の上限規制。令和6年4月1日からは建設業・自動車運転の業務・医師に対する猶予が終了し、「残業」への社会の見方がより厳しくなると予想されます。これを機に自社の状況を再確認し、適切な労務管理に努めましょう。

「残業」とはどのような労働時間?

そもそも「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。「会社が定める就業時間以内」と、「法律上の定めである1日8時間・1週40時間以内」で、その労働時間は
①所定労働時間
②法定内残業時間
③法定外残業時間
―の3種類に分けられます。
「法定内残業時間」と「法定外残業時間」も「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。そこには、例えば次のような時間も含まれます。

  • 業務上必要となる着替え等の準備の時間
  • 清掃等、業務に関連する後始末の時間
  • 会社が命じる研修や学習の時間

残業の上限規制により、法定外残業時間は、原則として、月45時間、年360時間以内(臨時的な特別な事情がある場合にも、複数月平均80時間以内、月100時間未満、年720時間以内)に抑えなければなりません。

残業を減らすためにできること

(1)残業の事前承認制の導入
所定労働時間内に業務が終わらず、従業員が残業する際に、上司への残業の事前申請・承認を必要とする等の手続き(残業の事前承認制)を導入してみてはいかがでしょうか。長時間に及ぶ残業・不要な残業の削減につながることが期待できます。


(2)変形労働時間制の採用
一定の期間(1か月やl年)を平均し、特定の日または週に、1日および1週間あたりの法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

例えば、冬場が繁忙期になるなど年内での偏りがある場合は「1年単位の変形労働時間制」を採用することで、閑散期の就業時間を短くし、その分繁忙期の就業時間を長くすることができます。

なお、この制度は休日も含めて1年間の総労働時間を計算します。そのため、勤務日の少ない月の労働時間を他に割り振る等、上手に活用すれば、繁閑の差が小さい企業でも残業の削減につなげることが可能です。他にも、月内での偏りが大きい場合には「lか月単位の変形労働時間制」を、従業員が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業では「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を採用することで、それぞれ月内・週内の労働時間を弾力的に定められます。変形労働時間制を導入する場合、就業規則や労使協定の改定、労働基準監督署への届出が必要となる場合があります。

(3)事業・製品・商品構成の見直し
自社の事業や製品・商品のうち、長時間の労働が必要となっているものを洗い出し、可能な範囲で減らしていく、という方法でも、残業時間を減らすことができます。特に、突発的な仕事や短納期での仕事は長時間労働の原因になりがちです。どの業務が、どれくらい残業を発生させ、どの程度の利益を生み出しているか、あらためて残業削減に向けた確認をしてみましょう。

(4)新たな技術の積極的な導入
近年話題になっている生成AIを活用し、文書作成や情報収集にかかる時間を短くすることで、労働時間を短くできる場合があります。また、飲食店の配膳や大型小売店の床清掃等では、ロボットの活用が進みつつあります。あるそば店では、そばの調理にロボットアームを導入したところ、0.5人分の作業を削減できただけでなく、湯気や熱湯による火傷から従業員を守る等の効果もあったといいます(経済産業省「コロナ禍におけるロボット活用事例J〈2020年12月〉)。生産性アップと残業時間削減の両立のため、新たな技術の導入も検討してみましょう。


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