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一般的にヒト以外の生物の大半は老化期間が短く、老化とともに死が訪れます。生物にとって老化は基本的に不要です。老化した時点、弱った時点で食べられてしまう。老化というよりは「死ににくくなっている」という捉え方の方が正しい。
ヒトの老化はある意味進化の結晶です。進化とは「変化と選択」です。変化は「多様なものができること」、選択は「その環境で生きやすいものが生き残ること」です。ですから老化という変化が生じてもそれが選択されることは考えにくい。例えば鮭は産卵した後にすぐに死んでしまいます。進化は最低でも数千年~数万年かけないと起きないと言われます。遺伝子の変化は少しすつしか起きないからです。
チンパンジーとヒトのゲノムの違いは1%しかないと言われます。たった1%かと思うかもしれませんが、ヒトとバナナでも50%は共通しており「生きている」だけで基本的な部分は共通しているのです。進化はそれくらいゆっくり起こります。
ヒトに長い老後があるのは非常に例外的に老化が有利に働いたからだと思います。「老い」や「老いた人」がいたほうが集団として競争力があったのではないでしょうか。自身が得た知識や経験を若い世代に伝え、導いていく。ただ年をとっているだけでなく「利他的」に振る舞うことで寿命を延ばしてきた。それと逆のことが起こるかもしれません。「老いた人」が何の役割も果たさす、利己的に振る舞い社会のお荷物になるようなら生物としての寿命は縮んでいくのではないでしょうか。
(小林武彦氏東京大学定量生命科学研究所不足生命動態研究センター教授TKC医業経営情報2024年1月号インタピュー記事より抜粋)
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