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個人事業者のための令和5年分消費税・所得税の確定申告の注意点

2024年2月26日

個人事業者の消費税や所得税の確定申告の時期になりました。免税事業者からインボイス発行事業者となった個人事業者は、今年から消費税の確定申告・納税も必要になります。また、所得税については、業務上の費用と家事費・家事関連費との区分に注意が必要です。

免税事業者がインボイス発行事業者になったケース

(1)免税・課税事業者の期間を区分する

免税事業者であった個人事業者が、インボイス制度を機にインボイス発行事業者になった場合、登録日から令和5年12月31日までの期間について、消費税の申告・納付が必要です(申告・納付期限は令和6年4月1日(月))。
インボイス発行事業者への登録日が令和5年10月1日の場合、免税事業者であった9月30日までの取引と、課税事業者となった10月1日以後の取引とが正しく区分されているかを確認しましょう。10月1日以後の入金であっても、それが9月までの売上に該当するものであれば、免税事業者としての売上となり、消費税の課税売上にはならないことに注意が必要です。

(2)納税額を売上税額の2割とする特例

消費税の納税額の計算には、「本則課税」と「簡易課税」の2つの方法があります。
インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者には、業種にかかわらず売上税額の一律2割を納税額とする特例措置(2割特例)があります。「2割特例」は、課税売上に係る消費税額(売上税額)からその8割を差し引いて納税額を計算するため、多くの場合、「2割特例」を適用するほうが有利といえます(図表1)。

(3)「2割特例」の適用にあたっての留意点

「2割特例」を適用できるのは、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者のみです。
本則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも、事前の届け出なしに、「2割特例の適用を受ける」旨を申告書に付記することで適用できます。ただし、基準期間(個人事業者の場合、その年の前々年)の課税売上高が1千万円を超えている方など、インボイス発行事業者の登録とは関係なく課税事業者となる方や課税期間の特例の適用を受けている方は、「2割特例」を適用できません。

(4)「2割特例」を適用できる期間

「2割特例」を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。令和5年10月1日に登録を受けた個人事業者の場合、令和5年分(10月から12月分)の申告から令和8年分の申告までの計4回の申告において、「2割特例」を適用することができます。

個人事業者の所得税の確定申告は家事費・家事関連費に注意

個人事業者の所得税の確定申告において、注意しなければならないのは、家事費と家事関連費です。個人事業者の場合、仕入代金、広告宣伝費、従業員給与など業務上の必要経費と、次のよ自うな業務に関係のない生活(プライベート)の中ための支出(家事費)があります。

【参考】
医療費控除や給与以外の一定の収入についても確定申告が必要

会社員などの給与所得者は、多くの場合、年末調整をすれば所得税の確定申告をする必要はありませんが、医療費控除や災害・盗難等による損失について雑損控除を受けるには、確定申告が必要です。また、以下のような給与以外の収入については、確定申告が必要な場合があります。

確定申告が必要になる給与以外の収入の例

  • フリマアプリやネットオークションでの資産(生活用動産を除く)の売却による収入
  • インターネット広告による収入
  • 暗号資産の売却による収入
  • 生命保険の満期保険金や損害保険の満期返戻金等の受取りによる収入
  • 海外資産の運用による収入
  • 不動産や金などの売却による収入
  • 同族会社の役員が会社から受け取る賃貸料や貸付金の利息による収入

家事費は必要経費として認められないため、しっかり区分しておく必要があります。
また、店舗併用住宅の水道光熱費や家賃、火災保険料、業務と生活において利用する自動車の諸費用等のように必要経費と家事費が混在した支出は家事関連費になります。家事関連費は、使用時間や使用頻度などの合理的な方法によって按分し、業務上必要な部分を明確にすることで、その部分が必要経費として認められます(図表2)。