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「経営がうまくいきますように」と、今年の初詣で「商売繁盛」を願った社長さんも多いのではないでしょうか。その商売繁盛のrカナメ(要)」となるのが、日々の記帳(毎日、会社で会計データ〈仕訳〉を入力すること)」と、年12回の「月次決算」です。
商売繁盛を願うなら、まずは会社での「日々の記帳」を徹底しましょう。
「面倒くさい」「帳冒簿をつける時間で営業したほうが儲かる」というお考えの方もおられるかもしれません。また、毎日記帳してはいるものの、「税務申告のため/融資のために仕方なく……」というのが実は本音だという方も、多いかもしれません。
しかし、帳簿は、他でもない経営者のためにあるものです。これには、
①自社を守るための証拠づくり
②経営者自身への報告(自己報告)
―という2つの側面があります。
①自社を守るための証拠づくり
商取引上のトラブルや税務調査があった場合、毎日、会社自身で帳簿をつけていれば「証拠力の高い記録」として、取引先や税務当局、時には裁判所に正々堂々と帳簿を提示することができます。
一方で、年に1回まとめて記帳していたり、外部へ記帳代行を依頼していたりする場合には、その帳簿の証拠力は、毎日正確に記帳された帳簿の証拠力と比べると、各段に低くなってしまいます。
②経営者自身への報告(自己報告)
経営者自身への報告は、倒産防止のためにも重要です。
なぜなら、日々の取引を会社で自ら記録していれば、細かな変化にもいち早く気づけるようになり、その変化に対応した行動に移すこともできるようになるからです。こうした「早期発見・早期行動」の積み重ねは、結果として、倒産という最悪の事態を防止することにもつながります。
例えば、毎日家計簿をつけている人は、財布にしまったレシート等を整理しながら、「最近使い過ぎかな。明日から外食を控えよう」などと振り返り、すぐに行動を改めることができます。一方で家計簿をつけない人は、自身の行動を振り返ることがないために、給料日前に「お金がない!」と慌てるのです。
会社経営も同じです。日々の記帳が習慣になっているか否かで、お金の使い方や行動に大きな差が出てきます。商売繁盛の道を歩むための第一歩として、会社での「日々の記帳」を良い習慣としてしっかり根付かせましょう。
商売繁盛のもう1つの要が、年12回の「月次決算」です。月次決算とは、単に「月次で会社の数字を締める」ことだけを意味するのではありません。「経営者自身が、毎月の業績を翌月早々に把握でき、かつ、活用できる状態」を指します。そのためには、発生主義(取引が発生した時点で収益や費用を計上する考え方)で正しく月次決算を行い、前月の取引にかかった費用/得た収益を正確に把握することが何よりも重要になります。特に近年は、不安定な世界情勢や気候変動の影響等を背景として、物価やエネルギー資源の高騰、さらには円安傾向が続いています。これらの変化は仕入状況・仕入価格に直結することが多いため、早い段階でチェックしておかないと、原価上昇分を売値に転嫁できなぃ、在庫確保のための運転資金が足りない、といった事態にもなりかねません。「自社は本当に儲かっているのか」「このままいくと、どうなるか」など、毎月、自社の現状を検証することは非常に重要なのです。
ただし、会社での日々の記帳と月次決算を行った結果として、月次試算表が毎月できあがっていても、その数字が正確なものでなければ、せっかくの日々の努力が報われないこととなってしまいます。そこで、
①正確な日々の記帳をサポートする法令に準拠した会計システムを活用すること
②会計事務所のチェック・助言を毎月受けること(月次巡回監査)
ーが重要です。•発生主義に基づいた正確な月次試算表は、会社での日々の記帳と、会計事務所の月次巡回監査の共同作業によって作成され、経営に活かされることになります。また、会計事務所が行う毎月の巡回監査によって、第三者の客観的な視点から会社の現状が確認されるので、会社側では気づけなかった問題点や新たな課題も見つけることができます。一緒に、商売繁盛を目指しましょう!
【参考】
福澤諭吉が説く商人の心得幕末から明治期に活躍した啓蒙思想家で、学校法人慶應義塾の創設者である福澤諭吉。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」から始まる著書「学問のす汲)」はあまりにも有名です。明治5年(1872年)に発行された初編以降同書は大ベストセラーとなり、第17編までシリーズ化されました。明治8年(1875年)に発刊された第14編で、福澤は商人の心得を次のように説いています。
商売に一大緊要なるは、平日の帳合を精密にして、棚卸の期を誤らざるの一事なり。
これは、「平日の帳合を精密に(=日々の記帳を正確に)して、棚卸の期を誤らざる(=常々きちんと決算を行う)」ことこそが、商売で最も大切なことである―ということを意味しています。
「日々の記帳」と「月次決算」の重要性が、約150年前から指摘されているのです。まさに現代の経営にも通じる金言といえます。
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