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インボイス制度の開始後、PDFをはじめとした電子データによる「電子インボイス」を受け取っている会社も多いことでしょう。電子インボイスの一種で、世界各国はもちろん、日本でも現在導入が進んでいる「ペポルインボイス」について解説します。
「Peppol(ペポル)」とは、受発注や請求にかかる電子文書をネットワーク上でやりとりするための国際標準規格です(図表1)。同規格は、ベルギーにある国際的な非営利組織「OpenPeppol」という団体により管理されており、現在はEU(欧州連合)をはじめ、シンガポールやオーストラリア、ニュージ一ランドなど、世界30か国以上で採用されています。日本においては、2021年9月から、デジタル庁が「OpenPeppol」のメンバーとなり、日本におけるペポルの管理局(JapanPeppol Authority)として、ペポルネットワークでやりとり可能な電子インボイスの標準仕様を策定・管理しています。この「ペポルネットワークでやりとりされる電子インボイス」を、TKCでは「ペポルインボイス」と呼んでいます。
ペポルインボイスの特徴(図表)の中で、PDFや専用のEDI(電子データ交換)システム等の一般的な電子インボイスと大きく異なる点は次の通りです。
〇送信/受信側が同じシステムを利用していなくてもデータのやりとりが可能であること
〇発行者名・品名•取引金額等のインボイスの記載事項について、受信したシステムでその内容を正確に読み込めるため、請求書の確認・仕訳入力が楽になること
2023年10月からスタートしたインボイス制度ですが、その種類(紙・電子)や記載事項の位置等は企業によって異なるため、インボイスを受け取った後の内容確認や仕訳入力作業が「煩雑になった」と感じている方もおられるのではないでしょうか。
また、同制度への対応のため、専用のEDIシステムを導入する企業も増えました。けれどもその一方で、請求書を受け取る側の企業にとっては、「操作方法が分かりにくい」「企業によって扱うシステムが異なるために、請求書処理のたびに複数のシステムを起動してかえって手間が増えた」といった声も聞かれます。
加えて、紙でインボイスを送付する場合には、印刷・封入•投函の手間と郵便代や用紙代、封筒代、トナー代、人的コスト等がかかります。ペポルインボイスの利用によって、こうしたインボイスの発行・確認にかかる作業やコストを大幅に削減することが可能となります。
ペポルインボイスの送受信には、「ペポルサービスプロバイダー」に認定されている企業と契約を結ぶ必要があります。また、ペポルネットワークの中には、データを保存するしくみはありません。2024年1月1日からは、電子帳簿保存法による「電子取引データの電子保存」の義務化が本格的にスタートしているため、別途、ペポルインボイスを保存する体制を整備することが必要となります。TKCは、「ペポルサービスプロバイダー」に国内で初となるタイミングで認定されています。さらに、TKCの財務会計・販売管理システムであるFXシリーズ・SXシリーズを利用している場合には、標準機能でペポルインボイスの送受信が可能です(送信機能は今後順次搭載予定)。FXシリーズに搭載されている「証憑保存機能」を利用すれば、「電子取引データの電子保存」の義務化にも簡単に対応できます。
ペポルインボイスの利用を検討されている場合は、当事務所にご相談ください。
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