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黒字経営への道しるべ(第6回/最終回)自社の「必要利益」をしっかり認識しよう

2024年1月15日

「経常利益」は、限界利益から固定費を引いた残りで、経営の総合的な成果、いわば社長の「最終成績」ともいえる数字です。自社にとって必要な利益をしっかり認識した上で、期末に黒字化できるよう、毎月の業績管理で自社の経営状態を把握しましょう。(全6回連載)

1.経常利益とは?

固定費をしっかりと管理できたのか、自社にとって十分な限界利益を確保できるような戦略を実行できたのか一。
「経常利益」はそのような社長の努力が表れる数値です。経常利益は、会社が行っているすべての事業活動によって得られる利益でもあります。決算では、よく「増収増益」「増収減益」などという表現をしますが、この「益」の部分にあたります。例えば、売上が「増収」であったとしても、営業活動や仕入原材料等にお金をかけすぎれば「減益」になってしまう場合があります。そのため、企業の営業力や収益性を評価する指標としても用いられます。図表は、通常の損益計算書を模式的に表したものです。損益計算書には、会社にとって重要な田から固で示す「5つの利益」があります。

このうち、
③経常利益は企業の稼ぎ出すカを表している数値となります。
経営を安定的に継続していくために毎期、黒字化を目指していくことは非常に大事です。災害による損失等の臨時的な損益がなければ
④税引前当期純利益に直結し、
「法人税、住民税及び事業税」を差し引いて固当期純利益が計算されます。

2.納税の壁を乗り越える

経常利益がマイナスであれば、慢性的な資金不足を引き起こしかねません。その資金不足を解消するため、多くの場合、金融機関からの融資を仰ぐことになりますが、経常利益をプラスに転じさせなければ、借金依存体質から抜け出すことはできません。また、たとえ経常利益がプラスでも、自己資本の蓄積が少ない会社では、その資金は借入金を返済するための元本や在庫、売掛金に滞留し、キャッシュとして残るまでには至りません。加えて、法人税等の納税資金を準備する必要がありますが、利益に対して約30%の法人税等を納税しても、約70%は内部留保に回せます。毎期、当期純利益を蓄積し、自己資本比率が30%を超える段階になると、「キャッシュが増えてきた」と実感できるようになるでしょう。まずは自社にとって必要な経常利益を、きちんと把握することから始めましょう。

3.毎期黒字決算を実現するために

毎期黒字決算を実現(経常利益を計上)するためには、「Plan(計画)ーDo(実行)—Check(検証)ーAction(対策)」を回す「PDCAサイクル」と呼ばれる業績管理の実践が必要になります。

期首には借入金の返済等を考慮した経営計画を策定し、期中には目標達成のための具体的な行動計画や打ち手を実践し、毎月、経営の体感と実際の経営成績とのギャップとを検証し、課題や変化に対する迅速な対策を考え実践することが重要です。ここで計画と実績との差異を確認するために大切なのは正確な月次決算です。

月次決算を行って変動損益計算書を毎月確認していると、早い段階で課題を発見し、打ち手を検討することができます。計画が順調に進んでいるのかを当月の数字から読み取ることはもちろん、前月や前年同.月の実績とも比較して変化を確認しましょう。経営に課題が見つかったり数字に変化が表れた際には、本連載で取り上げてきた次のような視点で改善点を探りましょう。

・売上高を増やす(第2回参照)
・限界利益を増やす(第3回参照)
・固定費の管理を見直す(第4・5回参照)

経営計画の策定から月次決算、期末に向けた打ち手の検討まで、お困りのこと、取り組んでみたいことがありましたら、ぜひ当事務所にご相談ください。