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インボイス制度では、仕入税額控除を受けるためには、一定事項が記載された帳簿に加えて、仕入先からインボイスを受け取り、保存する必要があります。一方で、従業員の旅費交通費等の精算など、インボイスを受け取れない取引もあります。実務における対応を確認しましょう。
Q.インボイスを発行できない免税事業者等からの課税仕入れであっても、経過措置として令和5年10月1日から令和8年9月30日までは、消費税額の80%相当額について仕入税額控除を受けられるそうですが、どのように会計処理すればよいのでしょうか。
A.税抜経理方式の場合、仕入税額控除が受けられる80%相当額は、仮払消費税として処理し、仕入税額控除が受けられない20%相当額は、その金額を取引対価の額に含めることになります。
●仕訳例(本則課税・税抜経理)
令和5年ll月1日に免税事業者が営む国内の店舗において事務用備品を購入し、代金として55,000円を支払いました。備品消耗品費:51,000/現預金55,000
仮払消費税:4,000※TKC財務会計システムでは、課税区分[52] ([62]、[72])で入力した分について、課税仕入れを行った期間に応じた控除割合(80%・50%・0%)で自動計算されます。
なお、減価償却資産を購入した場合の少額減価償却資産の特例の判定や、交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費を除外する場合の判定には、仕入税額控除が受けられない20%相当額を含めた金額で判定することになるため注意が必要です。
この経過措置の適用を受けるには、
①免税事業者等から区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存
②80%控除の特例を受ける課税仕入れである旨を記載した帳簿(仕訳帳・元帳)の保存が必要です。
Q.従業員に支給する通勤手当は課税仕入れとして扱ってきましたが、従業員からはインボイスをもらうことができません。どうすればよいでしょうか。
A.賃金規定等に基づいて従業員に支給した通勤手当(通勤に通常必要と認められる部分の金額)については、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。なお、「一定事項を記載した帳簿」とは、仕訳帳・元帳の摘要欄などに、次の事項を記載したものが該当します。
➀課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②課税仕入れを行った年月日
③課税仕入れに係る資産又は役務の内容
④課税仕入れに係る支払対価の額
⑤課税仕入れが通勤手当の支給に該当する旨
※通勤手当を支給した従業員の住所の記載は不要
Q.従業員の出張に伴う出張旅費、宿泊費、日当を支給する場合や従業員による立替払いを精算する場合、インボイスは必要なのでしょうか。
A.出張旅費等については、出張旅費規程等に基づいて支給するか、従業員による立替払いの精算かによって対応が異なります。
(1)出張旅費規程等に基づく実費相当額や日当を従業員に支給する場合一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が受けられます。
(2)従業員の立替払いを精算する場合原則として「会社宛てのインボイス」が必要になります。
「従業員宛てのインボイス」の場合は、この他に従業員が作成した「立替金精算書」等も必要になります。
Q.インボイスの保存が免除されている3万円未満の公共交通機関(電車・バス・船舶)の交通費(公共交通機関特例)について、気を付けることは何ですか。
A.「3万円未満」は、1回の取引の税込金額で判定します。例えば、鉄道の乗車券を購入する際、片道3万円未満でも往復で購入して3万円以上だとインボイスが必要になります。あるいは、1人分は3万円未満でも、複数人分をまとめて購入して3万円以上であればインボイスが必要です。なお、航空運賃やタクシー代、時間貸し駐車場の料金等は、インボイスの保存が必要となるため注意してください。
Q.従業員が、業務に必要な備品等を立替払いで購入した際、会社宛てではなく従業員宛てのインボイスを受け取りました。どうすればいいでしょうか。
A.従業員宛てのインボイスとともに、従業員が作成した「立替金精算書」等を保存しておきます。
Q.リース取引は賃貸借処理をしています。毎月計上するリース料について、インボイスの保存が必要でしょうか。
A.令和5年10月1日以後のリース資産の引き渡しの場合、リース会社(貸手)は、引き渡し時に売買処理を行い、当該リース取引の金額に対するインボイスを発行します。借手は、引き渡しに受け取ったインボイスを保存することで、リース料を賃貸借処理するつど、仕入税額控除が認められます。
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