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インボイス制度直前対策:要注意!令和5年10月1日をまたぐ"取引のインボイス"

2023年9月11日

令和5年10月1日のインボイス制度開始後、売手は、原則として、買手からの求めに応じてインボイス(適格請求書)を発行しなければなりません。買手は仕入税額控除のためにインボイスの保存が必要になります。取引や請求書等の発行が10月1日をまたぐケースにおいて、適切にインボイスの発行や保存ができるようその処理等を確認しておきましょう。

1.9月30日までの取引の請求書等を10月1日以後に発行する場合

インボイスの発行は、売手において課税資産の譲渡等(資産の引渡し、貸付け、役務の提供)を行った日が基準になります。10月1日をまたぐ取引の請求書等の発行については、「いつ課税資産の譲渡等が行われたか」が重要なポイントになります。

(1)請求の締め日が月末のケース

売上の請求が「月末締め・翌月に請求書発行」のケースでは、9月30日までに行われた課税資産の譲渡等であれば、請求書等の発行日が10月1日以後であっても、現行の請求書(区分記載請求書)で問題はありません。

(2)請求の締め日が月末でないケース

事業者によっては、請求の締め日が月の末日でないケースがあります。例えば、20日締めで「9月21日-10月20日」のように、インボイス制度開始日の「10月1日」をまたぐ請求書等については注意が必要です。売手は、10月1日から10月20日までの取引についてはインボイスを発行する必要がありますが、9月21日から9月30日までの取引については、現行の請求書の発行が認められています。請求書等の発行の際には、

①請求書を2枚に分ける
②1枚の請求書に期間で区切って記載する

一などの方策が考えられます。

ただし、買手側からすれば10月1日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となります。そのため、インボイスの記載要件を満たす請求書等であれば、9月分と10月分で期間等を区切らず1枚にまとめて発行する'ことも可能です。

制度開始前からインボイスを発行しても問題はありません。準備ができた段階で、インボイスに切り替えておくと良いでしょう。

(3)売手と買手の売上・仕入の計上基準が異なるケース

売手が出荷基準、買手が検収基準など、売手と買手において売上・仕入の計上基準が異なるケースがあります。
例えば、売手が9月26日に出荷して課租売上とし、買手が10月3日に検収を行って課税仕入れとするケースでは、売手から現行の請求書等の発行を受けても買手は仕入税額控除が可能です。

2.9月30日までに支払う短期前払費用(家賃・保守点検料等)の取扱い

法人税法や所得税法では、継続適用を条件に事務所家賃や保守点検料などを1年分前払いした費用の全額を、実際の支払時に短期前払費用として損金または必要経費処理することが認められています。消費税法においても、法人税法等の経理において全額を短期前払費用として処理する場合には、その支払時点で課税仕入れとすることができます。
例えば、9月30日に1年分の事務所家賃を前払いして、短期前払費用として処理した場合、貸手から現行の請求書等を受け取り、帳簿に所定の事項が記載してあれば、仕入税額控除の対象になります。

3.適格請求書発行事業者を選択した免税事業者の場合

免税事業者から適格請求書発行事業者となる場合は、9月決算法人を除いて同一事業年度内に免税事業者の期間と課税事業者の期間が存在することになります。免税事業者の期間である9月30日までの売上、仕入、売掛金、買掛金を集計し、区分しておきます。請求の締め日が月の末日でない場合は、9月30日までと10月1日以後の請求分を分けて請求書等を発行しましょう。