MENU

福耳通信

miyachannel

HOME > 福耳通信 > 信頼される会社へ!会社と経営者の資産をしっかり分けよう

信頼される会社へ!会社と経営者の資産をしっかり分けよう

2023年6月12日

社長は、知り合いから「会社への信頼を高める」ことが大切であると聞きました。自社の状況最初の一歩を踏み出したいと考えていますが、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。

中小企業では会社と経営者の資産の区分が曖昧になりがち


  • 社長
  • 先日、知り合いの経営者が、会社への信頼を高めるために会社と経営者個人の一体性を解消するよう金融機関から求められたと聞きました。どういうことなのですか。

  • 巡回監査士
  • 中小企業では、主たる株主が経営者である場合が多く、会社の資産と経営者個人の資産の区分が曖昧になりがちです。例えば、会社と経営者の間での金銭・不動産の貸し借りなどが行われるケースがあります。あたかも会社と経営者個人が一体化している状態があれば、金融機関などの第三者は、どのように考えるでしょうか。この会社に融資しても、事業ではなく、私的なことに使われてしまうのではないかという疑念につながる可能性があります。

  • 社長
  • 「会社と経営者個人の一体性を解消する」とは、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。

  • 巡回監査士
  • 経営者個人が所有する資産が会社の業務に使われている場合もよくあります。この場合、賃貸契約書を作成して会社から経営者へ適切な賃料等を支払うことが必要です。
    それでも、その資産が経営者の都合で第三者への売却や担保提供等が行われた時、金融機関は「事業の継続に支障をきたすのではないか」と懸念を抱くことも考えられます。事業に使っている経営者個人の資産は、できる限り会社所有にすることも検討してみましょう。
    また、会社から経営者への貸し付けは、事業上の必要が認められない限り行わないようにします。

 

現金は記録が残らない!残高合わせは毎日しよう


  • 巡回監査士
  • 現金の管理は経営の基本です。現金管理がきちんとできていると、会社の現金の動きに対する会計上の仕組みが整っていることになり、社内の不正や誤りの発見防止にもつながります。

  • 社長
  • 現金出納帳はつけていますが、実は細かい支払いは私が一旦立て替えることも多く、残高合わせが大変です。

  • 巡回監査士
  • 小型の金庫やコインカウンターを用いると管理しやすいと思います。「金車の中は会社のお金」「金庫の外は個人のお金」と分けることで、会社と個人の現金が混ざるのを防げます。
    それと、現金出納帳と実際の現金の残高合わせを毎日してください。現金は取引記録が残らないので、後から確認するのは難しいです。
    なお、クレジットカードを現金代わりに使う場合は会社のカードと個人のカードを分けて使ってください。

 

「立替金」や「仮払金」はできるだけ早めに精算する


  • 巡回監査士
  • 続いて確認することは、経営者と会社の間の資金のやりとりです。先ほど話した、会社と経営者の間での「立替「金」や「仮払金」等です。

  • 社長
  • 私が一時的に会社のお金を使ったり、会社が用立てたりする時に使う勘定科目ですね。

  • 巡回監査士
  • 特に経営者への仮払金は、私的な利用ではないかとの疑念を持たれやすいので注意しましょう。早めに精算をしないと、決算書に「使い道のわからないお金」としてることになり、金融機関は「貸したお金は事業に使われるだ「ろうか」と不安になります。「貸付金」も同じです。会社と個人の資産を分離するため、すぐに精算するようにしましょう。

  • 社長
  • 立替金等を早めに精算することも、会社と経営者個人の資産をしっかり分離することにつながるわけですね。

  • 巡回監査士
  • そうですね。これからも毎月の巡回監査を通じて会社と経営者個人の資産がきちんと区分された決算書を作成できるようにご支援します。
    また、そうした取り組みをTKCモニタリング情報サービスで金融機関に情報開示することで、会社への信頼を高めることにもつながります。

  • 社長
  • 会社との区分を明確にできるよう、引き続きアドバイスをお願いします。

 

【参考】法人と経営者個人の資産を明確に区分・分離するために

信頼される会社を目指すための具体的な取り組みには、例えば以下のようなものがあります。自社が対応できているか確認してみましょう。

●資産を分離する
・明確な分離が困難な場合(店舗兼住宅等)は、法人が経営者に適切な料を支払う
・事業活動に必要な資産(本社・工場・営業車等)法人所有とする

●経理・家計を分離する
・法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えないようにする
・個人として消費した費用(飲食代等)を法人の経費として処理しない

●経営の透明性を高める
・「中小企業の会計に関する基本要領」等に拠った信頼性のある計算書類を作成する
・金融機関に対して自社の財務情報を定期的に報告する