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ここが知りたいインボイス⑤こんなとき仕入税額控除やインボイスの保存はどうする?

2023年4月17日

現行の消費税法では、3万円未満の取引については帳簿のみの保存で仕人税額控除を認める特例がありますが、インボイス制度開始後は、公共交通機関の運賃など一部を除いて、原則として認められなくなります。クレジットカードやコインパーキングなどの利用に注意が必要です。

カード会社の請求明細書はインボイスとして利用できない

Q1.インボイス制度では、クレジットカード会社から一定期間ことに送付される「請求明細書」の保存で仕入税額控除が認められるのでしょうか?

A.インボイス制度では「請求明細書」はインボイスとして認められません。
クレジットカード会社が利用状況をまとめた「請求明細書」は、カード利用者に対して課税資産の譲渡を行った事業者(店舗等)が作成・交付した書類ではないため、現行の消費税法においても請求書等に該当しません。

Q2.クレジットカードを利用する際、何をインボイスとして保存すればよいのですか?

A.買い物をした店舗等が適格請求書発行事業者であれば、店舗等が発行する「ご利用明細」「ご利用控」にインボイスに必要な記載項目が記載されていますので、これを必ず保存しておいてください。

Q3.これまで、店舗等が発行する「こ利用明細」等をきちんと保存できていないこともあったかもしれません。

A.前述のクレジットカード会社が発行する「請求明細書」は、消費税法上の請求書等には該当しませんが、現行は3万円未満の取引の場合、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められているため、少額のクレジットカード取引については、これまで「請求明細書」を保存することでも問題とされなかったと思われます。
インボイス制度の開始後は、3万円未満の特例が廃止されるため、クレジットカードの利用の際は、店舗等が発行する「ご利用明細」や「ご利用控」を必ず受け取って、保存することを徹底してください。
高速道路を利用する際に、料金所においてクレジットカードで支払う場合には、交付される「利用証明書」を保存することで仕入税
額控除が認められることになります。
ETCの利用については、クレジットカード会社等が発行する「ETCクレジットカード」等を利用した場合は、Web上の「ETC利用照会サービス」において簡易インボイスが電子データにて交付される予定です。

Q4.コインバーキングの利用時は、どのような対応が必要でしょうか?

A.インボイス制度では、3万円未満の自動販売機や自動サービス機からの商品の購入等については帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例があります。
しかし、コインパーキングは対象になっていません。
そのため、コインパーキングから発行されるレシート(簡易インボイスに該当するもの)は必ず保存しておいてください。

一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)

Q5.令和5年度税制改正において、少額の取引であればインボイスの保存がなくてもよいことになったそうですが?

A.中小事業者の事務負担に配慮して、一定規模以下の事業者については、1万円未満の課税仕入れ(経費等)であれば、インボイスの保存がなくても帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります(少額特例)。

Q6.少額特例の対象となる一定規模以下の事業者とは誰ですか?

A.次のいずれかの事業者が対象になります。
●基準期間(前々年・前々事業年度)の課税売上高が1億円以下の事業者
●基準期間の課税売上高が1億円超であっても特定期間(個人事業者は前年の1-6月)の課税売上高が5千万円以下の事業者

Q7.少額特例は、いつまで適用されるのでしょうか?

A.対象期間は、インボイス制度開始からの6年間です。令和5年10月1日から令和11年9月308までの間に行う課税仕入れが適用対象となります。
たとえ課税期間の途中であっても、令和11年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例の適用はありませんので注意が必要です。

Q8.少額特例の対象となる1万円未満は、税込、税抜のいすれで判定すればよいのでしょうか?

A.税込金額で1万円未満かどうかを判定します。

Q9.例えば、9,000円の商品と8,000円の商品を同時に購入した場合(合計17,000円)、それぞれの商品が少額特例の対象になりますか?

A.少額特例は、課税仕入れに係る1商品ごとの金額により判定するのではなく、1回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定します。
この場合、17,000円の取引となるため、少額特例の対象とはなりません。