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【税制改正のポイント】インボイス制度開始に伴う負担軽減措置

2023年3月 2日

令和5年度税制改正では、10月1日から開始となる「インポイス制度」、12月31日で宥恕措置の期限を迎える「電子帳簿保存法」の見直しが行われます。
また、相続税・贈与税についても見直しが行われます。
※本誌は「令和5年度税制改正の大綱」(令和4年12月23日閣議決定)及び「令和5年度(2023年度)経済
産業関係税制改正について」(令和4年12月経済産業省)等をもとに作成しています。
※各項目の後についた口欄は、自社にとって重要な改正点等をチェックする際にお使いください。

インボイス制度開始に伴う負担軽減措置

消費税インボイス制度は令和5年10月1日より開始となります。制度開始に伴う事務負担や税負担を軽減するため、様々な措置が創設されます。

1.適格請求書発行事業者登録制度についての見直し
令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限(令和5年3月31日)後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとされます。これにより、4月1日以後の登録申請であっても10月1日からの登録が可能になります。

2.一定規模以下の事業者の行う少額取引の事務負担軽減措置
適格請求書等保存方式の下では、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れは、右図の9項目に限定されることとなっていました。
令和5年度の税制改正では、これらの項目に加えて、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者を対象に、令和5年10月1日から令和11年9月30日までに国内において行う支払対価の額が1万円未満の課税仕入れを一定の事項
が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるとする経過措置が講じられ、事務負担の軽減が図られることとなりました。

  1. 公共の鉄道、バス、船舶の運賃(3万円未満のものに限る)
  2. 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)を満たす入場券等が使用の際に回収されるもの
  3. 古物営業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受ける古物(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)
  4. 質屋営業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から取得する質物(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)
  5. 宅地建物取引業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受ける建物(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)
  6. リサイクル業等を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受ける再生資源又は再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)
  7. 自動販売機での購入(3万円未満のものに限る)
  8. 郵便切手を対価として受ける郵便サーピス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
  9. 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

※課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満である場合に帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる現行の措置については廃止されます。



3.免税事業者に対する税負担の軽減措置の創設
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下等の要件を満たす免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額を売上税額の2割とすることができることとする特例措置(2割特例)が創設されます。なお、この措置の適用に当たっては、事前の届出を求めず、確定申告時に選択適用することができます(確定申告書にその旨の付記が必要です)。

上記の特例は、簡易課税制度を適用した場合の事業区分が第3種事業(みなし仕入率70%)から第6種事業(みなし仕入率40%)であれば、特別の事情がない限り、負担軽減が図れます。その一方で第1種事業(みなし仕入率90%)であれば、2割特例を適用することで税負担が重くなる可能性があります。
その他、この特例には下記のような事務負担の軽減効果もあります。

●事業区分が不要
●申告時に選択適用が可能
●事前の届出が不要
●納税額と必要な転嫁の程度がより明確になる
●売上税額のみから計算が可能※
●仕入れに係る帳簿やインボイスの保存・管理が不要※
※のメリットは、簡易課税制度を選択した場合も同じ。

4.少額の返還インボイスについて交付義務の見直し
令和5年10月1日以後の課税資産の譲渡等につき売上げに係る対価の返還等を行った場合において、その対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除する措置が講じられます。