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中小企業の60時間を超える残業の割増賃金率が引き上げられます!

2023年3月27日

令和5年4月1日より、中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が25%から50%になります。制度改正を機に、自社の勤務状況を見直しましょう。

意外と細かく決められている「残業」の制度

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
残業についても同じで、残業をするにあたっては、労働者が所定労働時間(就業規則等で定めた労働時間)内で終わらない業務について使用者に残業の申請を行い、使用者が承認するといった手続きが必要になります。
図表1のケースでは労働時間はそれぞれ下記のように扱われます。

【所定労働時間】
就業規則等で会社が定める労働時間です。
ここでは9時から17時まで、休憩1時間を除く7時間が所定労働時間になります。

【休憩】
所定労働時間が6時間超の場合45分以上、8時間超の場合1時間以上必要です。

【法定内残業】
所定労働時間を超え、法定労働時間(18時)までの残業です。
残業代の支払いは必要ですが、割増賃金は不要です。

【法定外残業】
法定労働時間を超える残業です。図表では19時までの1時間が法定外残業となり、割増賃金を支払う必要があります。
法定外残業と法定休日の労働を行わせるには、従業員との間で労働基準法第36条に基づく協定(サブロク協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

令和5年4月1日から変更となる内容

令和5年4月1日から、中小企業の割増賃金率が25%から50%に引き上げとなります(図表)。

割増賃金に関して就業規則に定めがある場合、変更が必要となることがありますので、自社の就業規則を確認してください。
法定休日の労働時間は「月60時間」の算定には含まず、賃金は35%割増ですので、具体的には図表3のように計算を行います。
なお、残業申請書を整備するなどルールを明確にすれば、非効率な残業を減らすことができます。労務管理の見直しの際に合わせて検討してみましょう。ただし、明らかに所定労働時間内に終了しない業務量を与えている場合や慢性化している残業を使用者が黙認している場合は、上記の手続きがなくても残業と認定されますので注意が必要です。

変形労働時間制で人、お金、時間を有効活用しよう

労働時間の長短が時期によってはっきりしている場合、変形労働時間制を利用することで、残業を抑えられる場合があります。

(1)1年単位の変形労働時間制
1か月を超え、1年以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間以内の範囲において、特定の日または週に1日8時間または1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができます。

(2)1か月単位の変形労働時間制
1か月以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日または週に法定労働時間を超えて労働させることができます。

(3)1週間単位の非定型的変形労働時間制
従業員が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業において、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができます。

(4)フレックスタイム制
3か月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業および終業の時刻を選択して働く制度です。
変形労働時間制を導入する場合、就業規則や労使協定の改定、労働基準監督署への届出が必要となることがあります。
この機に勤務体系の見直しを検討してはいかがでしょうか。