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自己資本比率を高めるにはどうすればいいのか?

2022年11月14日

フランス菓子店を経営する山田社長は、友人の社長から「先行き不安なことが多いので、もっと自己資本を充実させたい」という話を聞きました。それはどういうことなのか、会計事務所の巡回監査の際に相談してみました。
(注)本稿では「付加価値」を「限界利益」の意味で解説しています。

1.今なぜ、自己資本比率が注目されているのか?

山田:友人の社長が「自己資本」を増やしたいといっていましたが、なぜ今、そんな話になるのでしょうか?

巡回監査士:たとえば、コロナ禍で売上高がゼロになるような店舗もあり、そのようなときに補助金等を申請してもなかなか給付されず困った方もいらっしゃったと聞いています。
ただし、自己資本が潤沢な会社の場合、たとえ売上高ゼロが数か月間続いたとしても、内部留保した蓄え(自己資本)から社員の給与や店舗の家賃などを払い続けることができたところもあります。
そのため、今、自己資本に関心が高まっているのです。

山田:なるほど・・・。ところで、わが社の自己資本はいくらですか?

巡回監査士:自己資本とは貸借対照表の「純資産の部」の合計をいい、御社は2,000万円です。また、総資本に対する自己資本の割合のことを「自己資本比率」といいます。会社が存続できるかどうかを見る尺度(安全性)の一つなので、この指標にも注目してください。

2.どうすれば自己資本比率を高められるのか?

山田:自己資本比率を高めるためには、どうすればよいのでしょうか?

巡回監査士:まずは、前回お話しした付加価値(限界利益)を高める経営をすることが大前提です。そのうえで、獲得した利益をどのようにするかが重要になります。たとえば、自己資本比率30%を達成することを考えてみましょう。
あくまでも概要の域をでませんが、御社は年商1億円、総資産1億円で、自己資本は2,000万円です。付加価値経営の実践で、当期末の着地点で税引前当期純利益を220万円確保できれば、法人税・住民税等を約70万円(約30%)納付したとして、当期純利益(利益剰余金)が150万円になります。
この利益剰余金を10年間資産(預金や設備等)に蓄積すれば自己資本が3,500万円となり、自己資本比率は約30%となります。

山田:10年ですか、結構長くかかるものなのですね。もっと簡単な方法はないのですか?

巡回監査士:自己資本比率を高める方法には「余裕資金による借入金の返済」「遊休資産の売却による総資産の圧縮」「増資」なども考えられます。それらも長期的な計画のなかで検討されてもよいでしょう。
ただし、今大事なのは、付加価値を獲得するために絶え間なく商品の品質を高めサービス提供の工夫を行うとともに、月次決算の精度を高め、業績管理をより確実なものとし、コストの削減に努めて利益を出し、適正な税金を納めて内部留保をする。これを地道に進めていくことではないでしょうか。

山田:わかりました。毎年適正に納税をして、利益剰余金をコッコッと積み上げていくことが重要なのですね...

巡回監査士:そうですね。自己資本はいわば企業を守る防波堤です。経済情勢が悪化したようなときにも、企業を守る防波堤が大きければ安心が高まります。業種にもよりますので一概にはいえませんが、自己資本比率30%以上を目安にしたいものです。

成長企業の自己資本比率を見てみよう
長野県諏訪市に本社を置く株式会社スワリク(運送業)は、全国貨物貸切輸送、全国低温物流、物流システム構築、物流コンサルティングなどを行う、資本金4,500万円、社員数277名(パート・アルバイト含)、保有車両124台の会社です。
会計事務所の支援のもと、小池大洋社長が毎年1月に次期経営計画を策定し、それに基づいて各拠点長が来期の営業動向などを分析・予測し、目標変動損益計算書を作成、それを財務システム(FXシリーズ)に登録して、POCAサイクルを回しています。また、社員のやる気を高めるため、業績連動型の賃金として、限界利益に一定パーセントをかけた「限界利益歩合給」等を導入しています。10年以上黒字決算を続けており、長野市、川島町、干葉市などにも低温物流センター等を建設するなど積極的な設備投資を行うとともに、永続経営を実現するために総資産が増加しても内部留保を積み重ね自己資本比率31.2%(2022年3月期)を確保しています。