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「サービスが先、利益は後」宅急便の生みの親小倉昌男

2022年10月 2日

ヤマト運輸中興の祖として知られる小倉昌男氏は、1971年に46歳で同社の代表取締役社長に就任し、「クロネコヤマトの宅急便」をスタートさせました。
今でこそ当たり前に誰もが使うようになっている宅配便ですが、当時一般家庭からの荷物の配送は、郵便局に持ち込む以外の選択肢はありませんでした。料金体系や複雑な物流システムの構築など、新規参入の企業にとって高いハードルがあり、ましてや「小口運送は儲からない」というのが運送業界の常識でした。そのため、宅配便事業への進出については懐疑的な見方も少なくありませんでした。さらに、オイルショックの影響でヤマト運輸は経営危機の真っただ中にあり、失敗は絶対に許されない状況の中での決断でした。

それでも、小倉氏は徹底して利用者の立場で物事を考え、「サービスが先、利益は後」という信念を貫き誰もが成功するとは思えなかった宅配便という事業を成功に導きました。
小倉氏はヤマト運輸の職を退いた後、私財を投じて始めた福祉事業でもこの信念を貫きました。心身に障害がある人々の「自立」と「社会参加」の支援を目的とした、パンの製造・販売を行う「スワンベーカリー」を1993年に設立し、多くの人にパンを提供することを通じて、障害者の雇用環境を改善していったのです。

このような小倉氏の姿勢は、先行きの見通せないこの時代に多くの学びを与えてくれるのではないでしょうか。

参考:森健著/小倉昌男祈りと経営ーヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの(小学館2016)