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「ウクライナ情勢」に急速な円安が拍車をかけ、エネルギーや原材料の価格が高騰しています。それでも、単に原価上昇を反映するだけの値上げはやりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、客離れしない上手な値上げについて考えてみます。
原価上昇が続いています。このままでは利益が出なくなってしまうものの、競合他社の存在を考えると値上げは難しく、価格競争を続けて苦しんでいませんか。
価格競争から脱却する方法は大きく2つあります。例えば、
①価値を維持して価格を半分に、
②価値を4倍にして価格を2倍に、
です。しかし、①には2つの問題があります。まず、価格を半分にして利益が出せるかという問題が発生します。
そして、コスト削減で価格を半分にできたとしても、よほど特別な方法を使わなければ、やがて他社が追随してくる恐れがあります。そうすると、さらにコスト削減と値下げをすることになりますが、いずれ限界に達して利益が出なくなってしまいます。
したがって、②の方法、つまり価値を高め、価格を上げるための「知恵比べ」で、競争から抜け出さなければなりません。
(1)値上げしやすい商品や取引先から値上げする
多くの原材料が値上げされています。このような状況であれば、中国のロックダウン、ウクライナ問題、円安、海上運賃の上昇など、皆に知られているような理由を値上げ交渉の材料にすることができます。値上げの際は、原材料だけではなく燃料費、運賃など値上がりしているものをすべて組み入れてください。また交渉は、もし取引がなくなったとしても自社の経営に大きな影響を及ぼさない取引先から行います。
(2)基本形を値下げし、オプション化して商品単価を上げる
単純な値上げは得意先に反発される可能性があります。そこで、現在の商品の機能や品質を基本形だけに絞り込んだ「基本形」を、値下げして提供するようにします。
そして、これまで無料で提供していた付属品やサービスなどをオプション化し、付加商品として有料化します。
不要なものを取り除いて値下げすれば、それを好む取引先はそれで満足します。それで足りない取引先はオプションを付けるでしょう。そうなれば客単価が上がり、貴社がより利益を上げることができます。
(3)価格帯を増やす
単純な値上げではなく、価格帯を増やすことによって、単価を上げる方法もあります。例えば、現在2つの価格帯を設けている商材であれば、中間に1つ価格帯を設けることで、真ん中の商品が売れるようになります。単純な値上げと違って、すんなり受け入れてもらえます。
ただし、あまり価格帯を増やしすぎると、顧客は選ぶのがおっくうになり、買うのをやめることもあります。2段階を3段階に、3段階を4段階にするくらいがよいでしょう。
(4)直販比率を増やす
卸売業者を通して販売している会社や、下請け体制の会社では、直接販売を増やすことで粗利益が増え、実質的な値上げの効果が出ます。
ホームページやSNS、Googleビジネスプロフィールなどを使って、経費がそれほどかからない新しい流通チャネルの開拓に取り組んでみてください。
特に、YouTubeやTwitter、Facebookなどでの動画を使った情報発信(自社専用のテレビ局を持つようなもの)に取り組んでみてください。最初から上手にやろうとすると、心理的負担が大きくなりますが、とりあえずはじめて、やりながら上達していくつもりで臨むと、大した問題はありません。
「よいものをより安く」が日本の常識です。その一方で、「よいものは高い」のも常識です。どちらの常識を基準に貴社の事業を組み立てるかで、貴社の事業の性格が決まります。
例えば、1本千円のワインと1万円のワインでは、品質のイメージがまったく異なります。1万円のワインと聞いただけで、人は勝手に高品質をイメージするからです。
つまりイメージが上がれば、値段が高いのも当たり前になります。もっとも、価格に見合う価値を提供しなければならないのは言うまでもありません。これは消費者対象のビジネスだけでなく、企業対象のビジネスも同じです。
イメージを上げるには、今回扱った
①値上げする、以外にも
②専門化する、
③オンリーワン化する、
④商品名を工夫する、
などの方法があります。
これらを組み合わせれば、独自化や差別化ができ、すべての中小企業(部品製造業を含む)でブランデイングが可能になります。原価の上昇に悩み、値上げを検討している今こそ、既存のビジネスを新しいステージへと移すチャンスです。ぜひ、貴社の商品の価格と価値を高め、より利益の出る会社にするためにチャレンジしてください。
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