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建物から和牛まで進化する3Dプリンターの利用法

2022年9月26日

機械部品や小物などの製造で利用される3Dプリンター。医療用ナノロポットの開発・研究などの極小のものから、3Dプリンター製の住宅が立ち並ぶ住宅街や、エンジンのメインバーツを3Dプリンターで製造したロケットの打ち上げなど大きなものまで、世界各地で積極的に活用されています。日本での利用はどこまで進んでいるのでしょうか。

日本でも3Dプリンター製の建物が完成

自然災害の多い日本では、耐震性など建物の災害対策に高い水準を要求しています。そのため3Dプリンターで建築物をつくるのは簡単ではありません。しかし、2022年2月、日本初となる建築基準法の条件を満たした3Dプリンター製の倉庫が群馬県で完成しました。17の小さな建物ですが、従来のエ法では2か月強かかる建築工事が約1か月で終了し、エ期の約35%短縮に成功。建築業界の生産性向上や省力化に大きな期待が寄せられています。

サシの入ったステーキも製造可能に

大阪大学などの研究チームは、3Dプリンターを用いて、これまで難しかった、自然に近い牛肉を製造する技術の開発に成功しました。この技術は、筋繊維、脂肪、血菅をそれぞれ3Dプリンターで出力した「繊維組織ファイバー」をまるで金太郎飴のように統合するため「3Dプリント金太郎飴技術」と名づけられました。3種類の繊維の配合などを調整することで味や食感を変えることができ、和牛の美しい「サシ」を再現することも可能です。

それぞれの繊維細胞の培養が自動化されれば、3Dプリンターで作成されたオーダーメイドの牛肉を、その場でステーキにする時代がやってくるかもしれません。このほかにも、3Dプリンターは、代表的な用途である試作品等の製造や、認知度の上がりつつある歯科医療などでも活用されています。2026年には3Dプリンター向けの造形材料の市場規模が現在の約4,000億円から1兆円近くまで成長するとの見通しもあります。