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「予見できていた失敗」

2022年7月 4日

知床遊覧船での痛ましい事故がありましたが、「予見できていた事故」ではないかとの報道がされています。
1986年1月のスペースシャトル「チャレンジャー号」が空中で爆発し、乗員全員が犠牲になった事故も実は想定外ではありませんでした。

打上げ基地の最低気温はマイナス8度とフロリダにしては異例の寒さでした。個体燃料補助ロケットの設計・製造を担うMT社は予定日前日のNASAとの会議で打上げ延期を提案しました。この気温では補助ロケットの繋ぎ目を密閉するリングが弾性を失い高熱ガスが漏れる恐れがあるとの理由でした。MT社は気温12度以上を打上げの前提と考えていました。
しかしNASAはその提案に反対し、打上げが確実に失敗する証拠を示せ、とまで言いました。MT社の責任者は最後まで譲らす、打上げ決定の署名を拒否しましたが、最後はMT社の別の人間が署名しました。爆発の原因はMT社の予測通りでした。

起死回生、V字回復を模索するような現在のビジネス環境下では、追い詰められると「予見できていた失敗」を起こしてしまうのかもしれません。

それを防ぐためにお薦めの方法があります。新しいビジネスをスタートする前に関係者全員を集めて「やってみたけど大失敗に終わった」との想定のもと、個々匿名で失敗の原因を具体的に書き出してもらうのです。社長への付度が不要な関係性ができていればきっと本音が出てくるはすです。
全てが自己責任の経営者にとって「想定外」は言い訳にすぎないのです。