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年末調整の業務をスムーズに進めるためには、提出された申告書の内容チェックはもちろんですが、従業員へ申告書作成上の注意点を事前に説明しておくことが大切です。基礎控除、配偶者控除等、所得金額調整控除の各申告書は兼用様式のため、提出もれに注意しましょう。
※各申告書の記載例は、誌面に掲載したQRコードで確認することができます。
従業員から提出を受ける主な年末調整申告書
年末調整の対象となる人は、原則として給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出している人です。本年中の主たる給与収入が2,000万円を超える人や、いわゆる日扉労働の人は年末調整の対象にはなりません。所得から控除される基礎控除や配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、保険料控除などは、年末調整申告書に基づいて行われるため、記入や提出のもれに注意しましょう。
1.基礎控除申告書
~年末調整の対象者は必す提出~
年末調整の対象者は必ず提出します。記入にあたっては、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の「収入金額」の計算に注意が必要です。
「収入金額」は、1月-11月までの給与支払明細書の課税支給額(賞与を含む)の合計と、12月の給与と賞与の支給額を見積もった金額を合計して計算します。
収入金額をもとに、申告書(裏面)の「給与所得の金額の計算方法」から所得金額を求めます。
給与所得以外の所得があれば、その合計額も含めて、合計所得金額の見積額を記入します。
合計所得金額の見積額を「控除額の計算」の判定欄に当てはめて「甚礎控除の額」を記入します。
2.配偶者控除等申告書~配偶者の合計所得に注意~
生計を一にする配偶者がいる人で、配偶者控除、配偶者特別控除を受ける場合に提出します(納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下に限ります)。
申告書の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」には、「収入金額」から「合計所得金額」を見積もって記入します。
見積額については、前述「1.基礎控除申告書」の「収入金額」の求め方と同様の手順で計算します。
また、配偶者の合計所得金額が、48万円を超えると配偶者控除を、133万円を超えると配偶者特別控除を受けることができません。
3.所得金額調整控除申告書~控除額の計算は会社が行う~
給与の収入金額が850万円を超える人で、下記の要件のいずれかに該当する人が提出します。
<要件>
①納税者本人(従業員)が特別障害者
②同一生計配偶者が特別障害者
③扶養親族が特別障害者
④扶養親族が年齢23歳未満(平成ll年1月2日以後生まれ)
申告書の提出時には、年収が確定していないケースが多く、収入金額が850万円を超えるかどうか明らかでない場合も、申告書を提出するようにしてください。
所得金額調整控除の額は、会社が計算するため、従業員が計算する必要はありません。
4.保険料控除申告書~区分、保険料の金額に注意~
生命保険料や地震保険料の控除などを受ける人が提出します。
控除の対象となるのは、納税者本人が支払った生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料等です。
提出時には、保険会社からの控除証明書等の添付が必要です。
<記入時の注意点>
●親族等が契約した生命保険であっても、本人が保険料を負担している場合は控除の対象になる。
●剰余金の分配、割戻金を受けた場合は、支払った保険料から控除する。
5.住宅借入金等特別控除申告書-2年目以降は年末調整によって控除~
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用2年目以降については、年末調整時に、添付書類とともに「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで控除が受けられます。
<添付書類>
●年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(税務署長が発行)
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関等が発行)
6.扶養控除等申告書~従業員の家族の異動を確認~
令和3年分の「扶養控除等申告書」は、本年の年初に従業員から提出を受けていますが、年
末調整にあたり、従業員に記載内容を再確認します。
従業員は、所得の見積額、扶養親族の異動(結婚、出産、家族の就職、離婚、死別など)について記載内容を確認し、変更があれば訂正します。
扶養親族については、特に子どものアルバイト収入による所得金額に誤りが多いので、従業員によく確認するよう伝えましょう。
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