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就業規則に定年の定めはありますか?

2021年10月18日

本年4月、70歳までの就業機会の確保を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が施行されました。改正前の同法では、65歳まで雁用を確保する措置の導入が義務づけられています。仮に就業規則が未整備であったり、定年の定めがない場合は、トラプルに発展する可能性があるので注意が必要です。

「定年の定めなし」や「従業員によって定年が異なる」とき
従業員が一定の年齢に達したときに労働契約を終了することとなる定年制度。多くの企業が、就業規則に定年を定めている一方で、そもそも就業規則が未整備のため定年が明確になっていない企業も少なくありません。
このような状態は、労務上のトラブルが発生しやすい状況にあります。

(1)定年の定めがないときは?
「経験や技術を長く活かしてほしい」と定年を定めていない、いわば永久雇用の会社もあるでしょう。しかし、加齢による作業効率の低下やミスの増加など、従前のように働けなくなる従業員もいます。
「高齢になって元気に働けなくなった従業員との労働契約を終了するには、どうすればよいのでしょうか」といった相談も増えているようです。
就業規則に定年の定めがない場合、会社と従業員との間で、退職について合意ができれば問題はないのですが、そうでないときは解雇によることになります。
しかし、解雇はトラブルになる可能性があり、また、長年の貢献を考えると解雇という手段を取りづらいということもあります。
したがって、労働法規に基づく定年を定めたうえで、定年後は、有期労働契約による雇用にするなどの方法を検討してみましょう。

(2) 従業員によって定年が異なるときは?
定年の年齢があいまいなため、例えば、65歳超の従業員Aが雇用されているときに、他の従業員Bが65歳になって、「もう高齢なので退職してほしい」となれば、トラプルに発展してしまうでしょう。そのため、定年を一律65歳に定めるなど、事前にトラプル回避の方策を取っておく必要があります。

法が定める65歳までの雇用確保措置
まずは、就業規則を確認しましょう。定年が不明確であったり、労働法規に対応していなければ、整備しておく必要があります。
高年齢者雇用安定法では、60歳未満の定年を禁止しており、さらに定年を65 歳未満に定めている場合は、次のいずれかの高年齢者の雁用を確保する措置(扉用確保措置)を導入して、希望者を定年後も65 歳まで継続して雇用することを義務づけています。

雇用確保措置(義務)
①65歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③65歳までの継続雇用制度の導入

雇用確保措置のうち、定年の引上げや廃止は、そのままの労働契約を継続することになり、従業員の高齢化に伴う仕事の効率性の低下、健康への配慮、人件費などの課題が生じる可能性があります。

多くの企業が導入している再雇用制度
雇用確保措置③の継続雇用制度は、現に雇用している高齢の従業員が希望するときは、その従業員を定年後も引き続き雇用する制度です。
具体的には、「勤務延長制度」や「再雇用制度」がありますが、再扉用制度を導入する企業が多いようです。
再雇用制度は、例えば、定年を60歳として、定年に達した従業員を一度退職させた後、再雇用する制度です。再雇用を希望する従業員は必ず雇用することが原則です。
再雇用にあたっては、仕事内容や勤務条件を見直し、雇用形態も契約社貝、嘱託、パートタイマーなどに変更することが一般的です。
会社と従業員が話し合って、働きやすい労働条件に見直すことができるため、双方にメリットがあるといえます。
また、トラブル防止のために、従業員との間で再雇用後の労働条件を定めた労働契約書や雇用契約書を交わしておきましょう。

令和3年4月施行!70歳までの就業機会確保の努力義務とは
改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月に施行され、65歳までの雇用確保義務に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保する努力義務(強制ではない)が規定されました。この改正は、少子高齢化による生産年齢人口の減少や公的年金の受給開始年齢の引上げなどから、将来の70歳定年制などの施策を見据えたものといえます。

令和3年4月以降の雇用・就業機会の確保について
これまでの義務が継続される
1.65歳までの定年引上げ
2.定年制の廃止
3.65歳までの継続雇用制度の導入
※上記①~③のいすれかを導入

+

新たに努力義務が加わる
65~70歳までの就業機会の確保(努力義務)

1.70歳までの定年引上げ
2.定年制の廃止
3.70歳までの継続雇用制度の導入
4.70歳までの継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5.70歳まで継続的に一定の社会貢献業に従事できる制度の導入
※上記①~③のいすれかを導入