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新型コロナウイルス感染症特別貸付などの支援策によって経営悪化を乗り切ることができた企業は少なくありません。しかし返済時期がくれば売上減少が続いている企業でも、借入金を返済しなければなりません。その際、どうしても返済が難しい場合はどうすればよいでしょうか。
会計事務所や金融機関にいち早く相談すること
社長は常に借入金の返済に関して、長期的な見通しを立てておく必要があります。そして、「このままでは返済が難しいかもしれなぃ」とわかったときには、いち早く会計事務所に相談してください。相談が遅くなると、その分、対応策も限られてしまいます。また、金融機関に返済の相談をすることになっても、具体的な対応は金融機関が決めることになります。例えば、約定返済日の直前になって経営者が「返せません」と金融機関に伝えたとしても、金融機関としては「早く相談してくれればよりよい方策を提案できたのに......」ということになりかねません。ですから、金融機関に対してもいち早く相談することが大切です。
債務条件の変更には時間を要することを理解しよう
(1)金融機関における条件変更の流れ
金融機関に債務条件の変更(条件変更)を申し込む際に、知っておいていただきたいことは、約定返済日に依頼すれば、すぐに手続ができるものではないということです。図表のように、基本的には新規融資の申し込みの流れと変わらず、申し込みから手続を経て決裁が下り契約となるので、一定の時間を要します。
(2)すべての取引金融機関の債務に影響
条件変更は、その1つの金融機関だけの問題ではありません。
取引する金融機関(融資取引)が複数ある場合は、そのすべての債務を含めて条件変更をすることになります。金融機関同士の返済額の調整作業が必要になるため、時間を要するのです。
(3)保証協会も債務ことの保証料を再計算
条件変更の場合、信用保証協会でも債務ごとに保証料の再計算を行い、承諾・保証書の再発行をすることになります。
債務ごとの契約なので、債務が多ければその分、契約にかかる作成書類も多くなります。
したがって、取引金融機関が複数の場合、かなりの時間を要することになります 。
条件変更を申し込む前にますは債務一本化などの道を探る
条件変更の具体的な方法として、金融機関は「元金返済の猶予」「返済期日の延長」の2つのいずれかを提案するケースが多いです。
●元金返済の猶予
元金の返済を止め、利息の支払いのみとすること●返済期日の延長
当初契約時の最終返済期日を延長すること
この2つの方法であれば、毎月の返済金額が減少し、負担も大幅に小さくなるでしょう。返済が難しいからといって、すぐに条件変更を申し込むのではなく、債務の現状認識をしてから会計事務所と検討することが必要です。例えば、既存債務を一本化し、毎月の返済額の負担を軽減する借換保証制度があります(都道府県によって名称は異なる) 。金融機関所定の審査がありますが、返済金額によってはこれを活用することができます。
事前に「月次試算表」を準備することで申し込みもスムーズに
(1) 3か月から6か月分の月次試算表
まず返済が困難であることを証明するため、3か月から6か月分(金融機関等により異なる)の月次試算表を準備しておくと、条件変更の申し込みもスムーズに進みます。これによって金融機関の担当者も経営状況を理解しやすく、そこから改善策の提案につながることもあります。
(2)経営改善計画や行動計画の策定
条件変更に伴い、金融機関からは経営改善計画や行動計画などの策定が求められます。
会計事務所が支援しますので、今後の見通しを計画に落とし込み、一緒に策定しましょう。
また、経営改善計画書どおりにきちんと経営できているかどうか、事業年度ごとに金融機関のモニタリングを受けることになります。その結果、安定した経営状況であると判
断されれば、条件変更前の返済計画に戻ることになります。
コロナ禍にあって、思うようにいかないことが多々ありますが、一緒にこの難局を乗り切りましょう。
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融資申し込みも電子化の時代
日本政策金融公庫では、インターネットでの融資申込が可能です。インターネットで必要事項を入力し、確定申告書や決算書一式をデータで送ることで、申込手続が完了します。これまでのように決算書等をコピーして郵送等で送付する手間も省け、非常に便利です。
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