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中小企業庁の「早期経営改善計画策定支援事業」の通称が「ポストコロナ持続的発展計画事業」となりました。これは税理士等の専門家の支援を受けて、経営改善計画書を作成する場合の費用の一部を国が補助するものです。経営改善計画書と聞くと、難しいという印象があるかもしれませんが、まずは社長の考えを見える化することから始めてみましょう。
<CASE>
三造業を営むA社は、新型コロナウイルスの影響により受注数の減少が続いていました。
この難局を打開するために社長は、既存製品の販路拡大や、自社の技術を生かした新商品の開発など何としても売上回復を図りたいと考えました。そんなとき、ちょうど会計事務所の巡回監査士が来たので相談することにしました。
見える化することで解決すべき課題等が明確になる
社長:受注減が続いて困っています。何か新商品を開発し、新規顧客の獲得ができたらと...... 。ただ、正直、何から始めてよいのかわからなくて......。
巡回監査士:コロナ禍の厳しい経営環境の中で、社長のそういう考え方は大事な戦略の1つです。私たちも全力でサポートします。ところで、その新たな事業展開について、社長の頭の中にはある程度のイメージがあるんですよね。
社長:「このようにしたい」という、だいたいのイメージは持っています。
巡回監査士:それなら、例えばTKCのFXシリーズからローカルベンチマーククラウドを利用して、社長のイメージを見える化しましょう。
ここで役立つのが「業務フローと商流把握」です。ビジネス全体の構造や流れを把握し、事業の構造や特徴、損益構造などをわかりやすく整理した図表のことです。
「業務フローと商流把握」に社長のイメージを落とし込むと、新規事業の実現可能性や解決すべき課題などが、より明確になると思います。
課題解決のための打ち手を「行動計画」に落とし込む
社長:確かに、「業務フローと商流把握」をつくると全体が見えてきました。課題は新たな仕入先と販売先の確保かな......
明確になった課題をどのように解決していくかがポイントdすね。ここで「行動計画」(アクションプラン) をつくりましょう。
例えば、課題である「仕入先・販売先の新規開拓」について、「いつまでに・どれぐらい」といった具体的な数値目標を設定し、行動計画に落とし込むわけです。行動計画の達成状況は毎期、きちんと確認し、適時見直していくことが必要になります。
社長:資金面も気になるところです。新たな借入も必要になりそうですね。
巡回監査士:まずは、現在の事業について把握している回収・支払を「資金繰り表」に落とし込んでみてください。ここは、当事務所でも把握しているので、一緒につくりましょう。
その上で、新規事業を成功させるために資金計画を作成します。新たな設備投資も含めて、どれぐらいの資金が必要なのかを試算し、それを資金計画に落とし込むことで、実現可能性が見えてくるはずです。
国の支援事業を活用し経営改善計画を策定してみよう
社長:正直、最初は、新規事業を立ち上げるといっても"雲をつかむ"ような話だと思いましたが、自分の頭の中を見える化したことで現実感がわいてきました。
巡回監査士:今、政府では、「ビジネスモデル俯轍図」や「資金計画」を含む経営改善計画書の策定を積極的に支援しています。「ポストコロナ持続的発展計画事業」です。
これは、コロナ禍で経営改善に取り組む中小企業者等が、国が認定した税理士(認定支援機関)などの専門家の支援を受けて経営改善計画書を策定する際、その費用の3分の2(上限20万円)を補助するものです。
※既に早期経営改善計画策定支援事業を利用している場合は、利用できません。
この経営改善計画書は金融機関への新規追加融資の申し込みにも活用できるので、新規事業を立ち上げる際には、ぜひ、作成しておきたいところですね。
社長:私が経営改善計画書をつくることを、国も応援してくれているのですね。
巡回監査士:はい、そのほかにも次のような融資や補助金の活用でも経営改善計書は役立ちます。
(1) 伴走支援型特別保証
保証協会に支払う保証料が大幅に軽減される制度で、企業の負担軽減につながります。
売上減少が続き、経営状況が悪化しているときに、経営改善計画書を提出することで、金融機関の支援(伴走)も受けやすくなります。
売上減少も条件となっているので、経営悪化で苦しい場合に活用するようにしましょう。
(2) 事業再構築補助金
新分野への進出に伴う経費に対して補助金が受けられる制度です。申請には「事業計画
書」の提出が必要ですが、その内容は経営改善計画書から応用できます
社長:いろいろな制度があるのですね。これまで自分の頭の中で考えていましたが、見える化することで整理できました。
巡回監査士:普段から経営の見える化を意識しておけば、社内外に自社の方向性を明確に示すことができますよ。
ふるさと納税についての素朴な疑問
ふるさと納税は、地方自治体に寄附をすると、寄附金額から2,000 円を差しサlいた金額が、所得税・住民税から控除される制度です。寄附の返礼品が届くという魅力もあり、年々、利用者が増加しています。それに伴い、きちんと控除されているのか、どこを見れば控除額がわかるのか、といった問い合わせが増えています。
1.ふるさと納税は寄附によって自治体を応援する制度
ふるさと納税は、納税者が、生まれ故郷やお世話になった地域、被災した自治体などを応援する制度で、お住まいの自治体に納める税金の一部を、応援したい任意の自治体へ納税するものです。
「納税」という言葉がついていますが、実際は、都道府県や市区町村への寄附になります。ふるさと納税によって寄附した金額のうち2,000 円(自己負担分)を越える部分の全額が、原則として翌年に納める所得税と住民税から控除されます(上限額あり) 。
上限額は、確定申告書を作成した会計事務所に試算(注) してもらうほか、ふるさと納税のポータルサイト(ふるさとチョイス、さとふる、ふるなび、楽天ふるさと納税等)の控除額のシミュレーション機能を使うと便利です。
(注) TKCの個人決算申告システム(TPS2000) には、試算機能があります。
2.ふるさと納税はどのように税額控除されるのか?
ふるさと納税は、納税(寄附)の際に現金やカード決済で支払い、納税した翌年に納める所得税や住民税の減額という形で税額が控除されます。
そのような仕組みであるため、「きちんと控除されているのか、よくわからない」という問い合わせをいただきます。
確定申告、ワンストップ特例(後述)のどちらを利用しても、控除される税額は同じですが、税額控除の方法に違いがあります。
(1) 確定申告の場合
例えば、昨年(令和2年)に、ふるさと納税をして、今年3月に確定申告(令和2年分)を行った場合、税額控除は令和2年分の所得税からの控除(還付)と、令和3年度の住民税(道府県民税〈東京都は都民税〉・市町村民税〈東京23 区は特別区民税〉)からの控除とに分けて、税額控除されます。
①所得税からの控除額は?
(ふるさと納税の額ー2,000円) 適用所得税率
※適用所得税率は、復興特別所得税の税率を加えた率
②住民税からの控除額は?
例年6月頃に届く住民税の決定通知書の税額欄「税額控除額」を確認してください。ふるさと納税以外に寄附金控除等がなければ、道府県民税と市町村民税の税額控除額の合計がふるさと納税による控除額になります。
上記①と②を合計した金額が、控除される税額になります。
(2) ワンストップ特例の場合
例えば、昨年(令和2年)にワンストップ特例を利用してふるさと納税をした場合、令和2年分の所得税からの控除は発生せず、全額が令和3年度の住民税からの減額という形で控除されます。
他に税額控除額がなければ、住民税の決定通知書の税額欄の道府県民税と市町村民税の
税額控除額の合計が、ふるさと納税によって控除される税額になります。
3.これからふるさと納税を始める方へ
これから、ふるさと納税を始める方は、ふるさと納税のポータルサイトを利用すると便
利です。ポータルサイトにおいて、返礼品や寄附金の使い道などを確認し、応援したい自治体を選ぶだけですが、寄附金控除を受けるには、確定申告をするか、確定申告なしのワンストップ特例の利用を申請する必要があります。
ワンストップ特例は、サラリーマンなど、以下の2つの条件に該当する人が利用することができます。
①年収2,000万円以下の給与所得者など確定申告をする必要のない人
② 1年間に行ったふるさと納税の寄附先自治体が5か所以内であること
後日、寄附先の自治体から返礼品のほか、「寄附金受領証明書」やワンストップ特例の「申請書」が送られてきます。申請書は必要事項を記入して返送します。
ワンストップ特例を申請しても、医療費控除など確定申告をする場合や寄附先が5か所を超えた場合は、確定申告において寄附金控除を申告しなければなりません。
「寄附金受領証明書」は確定申告に必要なので、大切に保管しておいてください。
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