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経理業務のキホンの「キ」⑤的確な経営判断のため、月次決算の精度を高めよう

2021年8月23日

カテゴリ: 会計

B社で経理を担当する社長の奥さん(美里)は、会計事務所の指導を受けて、売掛金や買掛金を請求書ベースで月次計上ができるようになりました。ところが、月次の損益計算書では利益が出なかったため、その要因を巡回監査担当者(巡回監査士)に尋ねてみました。

月末に在庫を計上しないと利益に影響が出る

美里:教えられたとおり、売上、売掛金、仕入、買掛金を月次で計上し、発生主義で月次決算を行っています。ところが、先月は先々月と売上はほとんど変わらないのに、利益が出ていないのです。

巡回監査士:在庫が影響していると思います。普段、保有している在庫量にそれほど変動がなければ、月次の利益への影響は小さいのですが、売上や仕入に季節変動が大きい場合は、月末在庫を正しく計上しないと、利益に影響します。
また、月末在庫を把握しておかないと、翌月に余分に仕入れてしまうことが起こります。
在庫は資金繰りにも影響します。在庫品が販売されて代金が回収されるまでは、運転資金が在庫や売掛金のまま寝ている状態にあります。

原価率をもとに概算で在庫を計上しよう

美里:秋から年末の商戦に備えて、大量に商品を仕入れたことが原因だったのですね。
ところで、月次で在庫を計上するにはどうすればよいのでしょうか。

巡回監査士:本来は、商品の入出庫を記録して在庫管理を行い、月末に実地棚卸をして、月末の在庫を計算するのですが、この方法は大変手間がかかります。そこで提案したいのが、概算で在庫を計上する方法です。
この方法では、原価率(売上原価+売上)を使って、推計で在庫金額を計上します。
原価率は、商品ごとに異なりますが、取り扱う商品に大幅な変更などがなければ、全社の平均的な原価率は、毎月それほど変わらないため、前期の売上高と売上原価をもとに平均的な原価率を求めることもできます。
原価率がわかれば、次のように概算で月末の在庫を求めることができます。

①当月売上高に原価率を掛けて、当月の売上原価を求めます。
当月売上高×原価率=売上原価

②月初在庫と当月仕入高の合計から、売上原価を控除して、月末在庫を求めます。
月初在庫+当月仕入高一売上原価=月末在庫


減価償却費や年払いの経費を月割りで計上しよう

美里:仕入高や在庫が月ごとに大きく変動しても、月末在庫を概算計上すれば、利益額がぶれないですね。

巡回監査士:ただ、概算の月末在庫金額と実際の在庫との間に差異が生じていないか、定期的な実地棚卸が必要です。

美里:月次決算の精度が高まれば、月次の数値がより正確なものになり、社長の経営判断が的確になりますね。

巡回監査士:さらに月次決算の精度を高めていきましょう。
経費のなかには、労働保険料、損害保険料や固定資産税、賞与のように年払いや特定の月にまとめて支払うものがあります。これらの金額が大きいと、月次の利益に影響を与えることがあります。
このような経費の年間支払額を月割りして、毎月計上すれば、経費計上が平準化され、月次の利益への影響を回避することができます。
また、減価償却費についても月割りで計上しましょう。
機械装置や車両運搬具、建物などの減価償却費は、期末に計上する経費ですが、年間の見積額をもとに月割りで計上すれば、毎月の業績に反映させることができます。

月割りで計上する経費の例
●減価償却費
●労働保険料や損害保険料などの年払いの保険料
●年間契約の保守点検料
●固定資産税
●賞与の年間見積額

他にも、月末時点で未払いの経費を月末に計上しましょう。販売費及び一般管理費(社会保険料、家賃、リース料、通信費、水道光熱費、広告宣伝費、カード払いの経費など)のなかには、発生した月と実際に支払う月にズレがあるため、金額によっては月次の利益に大きく影響するものもあります。
そのような費用は、請求書や納品書、契約書などをもとに未払金や未払費用として、発生した月に計上することを検討しましょう。


月次決算の精度を高めて毎月の業績を正しくつかもう

美里:毎月の利益に影響する経費についても月次で計上できれば、月次決算がより確かなものになるということですね。

巡回監査士:そのとおりです。社長がより的確な経営判断ができる月次決算書を作成することができます。
また、月次決算書をタイムリーに金融機関に開示することで、金融機関からの評価も高くなると考えられます。