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帳簿書類の整理・保存は、現金管理とともに正しい経理処理の基本であり、経営や法的側面からも大切な業務です。令和3年度税制改正では電子帳簿等保存法の要件が見直され、今後、帳簿書類の電子保存が進むことが見込まれます。電子へのスムーズな移行には、帳簿書類の整理・保存が正しく行われている必要があります。
B社では、社長の奥さん(美里)が経理を担当しています。顧問をお願いした会計事務所の初期指導において、「秩序正しく整理・保存された帳簿書類は、経営者の迅速な意思決定に必要であり、会計の信頼性を高める」と、帳簿書類の整理・保存の重要性を教わりました。
秩序正しく整理され容易に見られる状態にあること
美里:先日、仕入の納品書が見当たらなくて、請求書との突き合わせに大変困りました。元帳、出納帳などの帳簿や請求書、領収書などの書類も増えています。どうすればよいでしょうか。
税理士:帳簿書類は、ルールに基づいて秩序正しく整理・保存しなければなりません。これは現金管理とともに、経理業務の基本です。
美里:なぜ、帳簿書類の整理・保存が重要なのですか。
税理士:まず、帳簿書類が、秩序正しく整理され、いつでも容易に見られる状態に保管してあれば、社長が経営判断に必要な情報を迅速に確認することができます。経理業務においても、書類の紛失、誤記や転記ミス、請求ミス、領収書の二重使用、社内不正などが起こりにくくなります。
帳簿書類の整理・保存は、社長の経営の意思決定と経営管理のうえで、欠かすことができない業務です。帳簿書類の整理・保存がきちんとできるようになれば、会計の信頼性も高まります。
美里:帳簿書類はいつまで保存しなければならないのですか。
税理士:商法、会社法では、帳簿書類の保存期間を10年と定めています。
法人税法、所得税法では、帳簿書類を7年間保存しなければなりません。また、青色申告法人が、欠損金の繰越控除の適用を受ける場合には、10年間の保存が必要です。消費税法では、仕入税額控除の要件として、課税仕入れの事実を記載した「帳簿及び請求書等」を整理し、7年間保存しなければなりません。税務上、帳簿書類の保存は、青色申告や消費税の仕入税額控除の要件になっています。保存を怠ると、税務調査で、青色申告の取り消しや仕入税額控除が否認されるおそれがあります。
美里:帳簿書類の整理・保存の方法を教えてください。
税理士:帳簿書類の整理・保存の基本的な・ 流れを説明しましょう。
●帳簿書類の整理・保存の基本的な流れ
帳簿書類の電子化や書類のスキャナ保存による省力化
美里:帳簿書類が増えてくると、書類の分人類・整理や保存場所の確保などが、大変になりますね。
税理士:帳簿書類の電子保存や書類のスキャナ保存を検討してみましょう。仕訳帳や元帳などの帳簿、貸借対照表などの決算関係書類は、電子データによる保存が認められています。取引先から受け取った書類や自社作成の書類の写しなどはスキャナ保存が認められています。紙ベースでの帳簿書類の整理・保存がきちんとできていれば、電子への移行もスムーズに進むはずです。
<参考>保存が必要な帳簿書類の種類(青色申告の場合法人税法・所得税法では保存期間は原則7年)
帳簿 | 仕訳帳、総勘定冗元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | |
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書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など |
現金預金取引等関係書類(※) | 領収書、小切手控、預金通帳、借用証など | |
その他の書類(個人事業者は保存期間5年) | 取引に関して作成し、または受領した上記以外の書類(請求書、見積書、納品書、送り状など) |
※前々年分所得が300万円以下の個人事業者は保存期間5年
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