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確認しておきたい新型コロナに関連した税制の注意点

2021年5月17日

昨年、新型コロナに関連した緊急の税制措置として実施された納税猶予の特例措置は適用期限が終了し、通常の納税猶予を適用することになります。また、新型コロナに関連して在宅勤務手当を支給したり、助成金の受給があったときには、税務上、注意が必要です。

1.資金繰り悪化によって国税を一時に納められないとき
新型コロナ税特法(令和2年4月30日成立・施行)により創設された「納税の猶予制度の特例」は、申請期限である令和3年2月1日をもって終了しました。2月2日以降に納期限が到来する国税については、通常の「納税の猶予制度」(猶予制度)を適用することになります。猶予制度には、「換価の猶予」と「納税の猶予」があります。

(1)換価の猶予~新型コロナの影響で収入が大幅に減少した場合など~
収入が減少し、国税を一時に納付することができない場合、税務署長への申請によって最大で1年間の分割納付が受けられ、猶予期間中の延滞税が軽減される制度です。ただし、以下の要件をすべて満たす必要があります。

●換価の猶予の要件
①一時の納税により、事業の継続•生活の維持が困難となるおそれがあること。
②納税について誠実な意思があること。
③猶予を受けようとする国税以外に滞納がないこと。
④納期限から6か月以内に申請があること。
※③④に該当しなくても、税務署長の職権によって換価の猶予が受けられる場合があります。

(2)納税の猶予~災害による財産の損失や事業に著しい損失があった場合~
例えば、災害(新型コロナによる影響を含む)によって財産に相当の損失を受けたり、あるいは、新型コロナの影響で予約のキャンセルが相次いだことで、事業に著しい損失や売上減少があり、国税を一時に納付することができない場合、「納税の猶予」によって、最大で1年間の分割納付が受けられ、延滞税が免除または軽減される制度です。ただし、税務署長への申請が必要です。

●納税の猶予に該当するケース
①新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した。
②納税者本人または生計を同じにする家族が病気にかかった。
③納税者が営む事業について、やむを得す休廃業をした。
④納税者が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた。※①②のような個別の事情があるときは、延滞税が免除される場合があります。

 

2.テレワークする従業員に在宅勤務手当やパソコン等を支給するとき
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テレワーク(在宅勤務)する従業員に対して、企業が在宅勤務に必要なパソコンなどの事務用品等を支給したり、従業員が負担した通信費・電気料金について、通常必要な費用の実費相当額を精算する方法であれば、従業員への給与として課税する必要はありません。ただし、渡切りで支給する在宅勤務手当は、課税されます。従業員が負担した通信費・電気料金については、基本使用料やインターネット接続料、電気使用量、在宅勤務日数、自宅の床面積等をもとに、一定の算式で実費相当額を算定します。

 支給方法課税の有無
在宅勤務手当の支給 在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する方法によって金銭を支給する場合 非課税
在宅勤務手当として一定額の金銭を渡切りで支給する場合 給与として課税
事務用品等の支給 従業員にパソコン等を貸与した場合(所有権が従業員へ移転しない) 非課税
従業員にパソコン等を支給した場合(所有権が従業員へ移転する) 給与として課税

3.助成金等を受給したときは、収益の計上時期に注意
新型コロナ対策に関連して助成金や補助金を受給した場合、事業主が法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の課税対象となります(消費税の課税対象にはなりません)。受け取った助成金等を収益として計上する時期については、支給決定があった日の属する事業年度になります。ただし、雇用調整助成金は、通常と特例措置(令和3年4月30日まで延長)において、収益の計上時期に注意が必要です。

●雇用調整助成金(通常•特例)の収益計上の時期の違い

通常 休業を実施した事業年度において、受け取る予定の助成金等の金額を見積って、収益として計上します。
特例 支給決定を受けた事業年度に収益を計上することが認められています。
※特例措置の場合、対象期間内の休業実績を1か月単位で判定し、支給申請するため、支給決定が行われるたびに、支給額を収益として計上することになります。