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経理は現金に始まって現金に終わる

2021年4月 5日

現金管理は、会社規模の大小にかかわらず経理の基本です。毎日、実際の現金有高と帳簿残高が一致することを確かめることで、売上や経費のもれがなくなります。今後、キャッシュレス決済等で経理業務の省力化を進めるうえでも、ルールに基づいた現金管理をしておく必要があります。

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開業間もないB社は、社長の奥さん(美里)が経理を担当し、会計事務所に顧問をお願いすることにしました。会計事務所から初期指導を受ける際に「経理の仕事は、現金管理に始まって現金管理に終わる」ということを教わりました。

毎日の残高合わせは現金管理の第一歩

美里:会社の現金は社長が持っています。どうやって管理すればいいのかしら。

巡回監査士:会社の現金と、個人の現金を区別するために、まず金庫を用意しましょう。そのうえで、毎日、現金取引は、その日のうちに遅れずに記帳して、日々の正確な現金出納帳(または現金残高表)を作成します。
そして、その日の締め後に金庫内の現金を数えて、現金の実際有高と帳簿残高が一致するかどうかを確かめます。これが現金管理の基本です。

美里:どうして、現金残高を毎日合わせなければならないのですか?

巡回監査士:たとえば、売上計上や経費の支払処理のもれ、社長による会社の小口経費の立て替えや、領収書のない支出がそのままになっていると、現金残高が合わなくなります。現金は、預金と異なり取引記録が残らないため、後からその動きを追うのは困難です。毎日、現金残高を合わせていれば、売上や経費、精算のもれがなくなります。

美里:残高が一致しないときは、取引のもれや起票の誤りがないかを調べれば、その原因がすぐにわかりますね。だから、毎日行うことが大切なんですね。

巡回監査士:税務調査においても現金は重要な調査項目の一つです。現金管理がきちんとできていれば、会社の現金の動きに対する会計上の仕組みが構築できていることになり、社内の不正や誤りを発見・防止できる社内体制が整っていると判断されるでしょう。
現金管理がずさんが共と、売上や経費の計上にも不備がある可能性が高いと判断されてしまいます。

美里:実際に、どのような手順で現金管理を行えばよいのでしょうか。

巡回監査士:現金管理は次の手順で行います。

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現金管理の手順(一例)
個人の現金と会社の現金を明確に区別するためにも、極力、社長が現金の受け払いをしないようにしてください。領収書のない支出には、支払証明書や仮払申請書を利用します。個人事業者の場合は、「事業経費」と「家事費」を明確に区分しましょう 。

2.入出金のつど、 FXシリーズヘ入力(伝票の起票)、または現金出納帳へ記帳します。

3.毎日の締め後、伝票の場合には現金残高表を作成します。

4.実際の現金有高に基づき、現金収支日報(金種表)を作成します。

5.現金の実際有回豆帳簿残高を照合します。

6.実際有高 と帳簿残高が一致しない場合は、原因を究明します。それでも不明な場合は、一時的に仮払金または仮受金などで現金過不足の処理を行っ て残高を一致させ、後日、正しい勘定に振り替えます。
※FXシリーズでは、自動で作成されます。

自社に合った経理のルールをつくろう
社内の現金は、あらかじめ定めた金額の補充のためだけに預金口座から引き出し、現金収入などは直接預金口座に入金することで、管理が容易になります。
現金管理のポイントは、銀行振込や振替、キャッシュレス決済を活用することで、社内での現金の受け払いを極力減らすことです。

美里:現金の受け払いや精算が少なくなれば、記帳の誤りや計算の間違い、現金の紛失などを防止することができますね。

巡回監査士:あとは、自社に合ったルールをつくり、ルールに基づいた処理と定期的なチェックを徹底することです。

【参考】キャッシュレス決済の導入を検討しよう!
コロナ禍における非接触の生活様式もあり、キャッシュレス決済を導入する企業が増えています。キャッシュレス決済の導入には、次のようなメリットがあります。社内での現金の扱いを減らして、経理業務の省力化を進めましょう。

  1. 経費の支払や社内精算に、口座引き落としや振り込みを利用した場合
    ・現金精算や残高確認などの日々の業務が省力化され、経理ミスや現金の紛失などを防止できる。
  2. 小売業や飲食業などのレジを利用している企業が導入した場合
    ・顧客との現金のやりとりが減少し、現金管理の手間が大幅に削減される。
    ・キャッシュレス決済を活用する消費者が増えることで、それに対応した事業者が選ばれる。