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家賃支援給付金を活用しよう!

2020年8月10日

新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした営業自粛や休業要請によって、急激な売上減に見舞われた中小事業者にとって、固定費は大きな負担です。固定費のうち大きなウエートを占める家賃の負担軽減を目的に、テナント事業者に対して「家賃支援給付金」が支給されます。
※本記事は6月12日の情報をもとに作成しています。

5月-12月の売上が50%減少などの事業者が対象
(1)給付対象の要件
給付の対象となるのは、中堅・中小企業、小規模事業者、個人事業者等のうち、令和2年5月-12月における売上の減少が以下のいずれかに該当する事業者です。

売上減少の要件

  • lか月の売上が前年同月比で50%以上減少
  • 連続する3か月の売上が前年同期比で30%以上減少

「1か月の売上が前年同月比で50%以上減少」の要件は持続化給付金と同様ですが、対象期間が異なるため注意が必要です。

●家賃支援給付金と持続化給付金の対象期間
家賃支援給付金 令和2年5月-12月
持続化給付金 令和2年1月-12月

持続化給付金の申請にあたり、5月以降の任意のひと月を対象月とした場合には、家賃支援給付金の要件にも該当しますが、1月~4月の売上で申請した場合には、改めて5月以降の売上減少の確認が必要です。

(2)給付額
申請時の直近の月額家賃に基づいて算出される給付額(月額)の6倍(6か月分)が支給されます(上限あり)。

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①法人の場合
下表のとおり、月額家賃のうち75万円までの部分について3分の2(上限50万円)、75万円を超える部分について3分の1(上限50万円)が支給されます。

●法人の給付率•月額上限
月額家賃 75万円までの部分 75万円を超える部分
給付率 2/3 1/3
月額上限 50万円 50万円

例えば、月額家賃が225万円であれば、支給額は、月額上限の100万円になり、6か月で600万円が支給されます。

②個人事業者の場合個人事業者は、下表のとおり、月額家賃のうち37万5千円までの部分について3分の2 (上限25万円)、37万5千円を超える部分について3分の1(上限25万円)が支給されます。

●個人事業者の給付率・月額上限
月額家賃 37万5千円までの部分 37万5千円を超える部分
給付率 2/3 1/3
月額上限 25万円 25万円

家賃の支払猶予や支払済みでも受給できる
家賃支援給付金は、売上減少などの要件を満たせば、以下のような場合でも申請は可能です。

・不動産オーナーにお願いして、家賃の減額や支払猶予に応じてもらっている。
・持続化給付金や自治体独自の休業協力金などを家賃の支払いに充てている。
・緊急融資などを家賃の支払いに充てている。

国土交通省から不動産関連業界に対して、家賃の支払いが困難なテナント事業者の支払猶予に応じるなどの柔軟な対応が要請されています。テナント事業者は、真摯な態度で窮状を訴えるとともに、不動産オーナーには、日頃の信頼関係に基づいた誠実な対応が求められています。

減額や支払猶予を行った不動産オーナーヘの支援策
(1)家賃を減額したときの注意点
新型コロナウイルス感染症の影響により、家賃の支払いが困難となっている飲食店や小売店などのテナント事業者に対し、不動産オーナーが家賃を減額した場合、その減額分については、税務上、災害時と同様に寄附金にはなりません。収入の減少として扱います。また、家賃について消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている場合、家賃の減額理由が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けたテナント事業者の支援のためであることが明らかであれば、引き続き、経過措置が適用されます。

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(2)家賃の支払猶予をしたときの注意点
不動産オーナーが、家賃の支払猶予に応じた場合でも、その猶予分は家賃収入(未収入金)として収益に計上する必要があります。ただし、国税、地方税、社会保険料の納税(納付)猶予の特例、固定資産税.都市計画税の減免措置を適用する場合の「収入が概ね20%以上の減少」などの要件における収入金額の計算にあたっては、支払猶予中の家賃は収入の減少として扱われます。

<参考>
賃貸借契約の考え方(法務省民事局)
日本の民法の解釈では、賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除するには、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要です。最終的には、事案ことの判断となりますが、新型コロナウイルスの影響により3か月程度の賃料不払いが生じても、不払いの前後の状況等を踏まえ、信頼関係は破壊されておらす、契約解除(立ち退き請求)が認められないケースも多いと考えられます。
※法務省「賃貸借契約に関する民事上のルールを説明したQ&A」をもとに作成