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所得税確定申告の注意点―こんな収入の申告漏れははりませんか?

2020年2月24日

個人事業者はもとより、会社経営者やサラリーマンなどの給与所得者であっても確定申告が必要な場合があります。一般的な事業収益や会社からの給与等のほかに、収入として申告すべきものがありますので、申告漏れに注意しましょう。

1.役員と会社との取引から生じる個人収入
社長をはじめ役員が会社から支給される給与が年間2,000万円以下の場合は、年末調整を行えば、基本的には確定申告をする必要はありません。しかし、同族会社の役員がその同族会社から給与の他に、以下のような収入を受け取っている場合には、それが少額であっても確定申告が必要になります。

①会社に賃貸している不動産の賃貸料
役員の自宅の一部を会社の事務所などにして、会社から賃貸料を受け取っていれば、不動産所得として確定申告が必要です。自宅が共有の場合は、共有者ごとに持分割合で按分して申告する必要があります。

②会社に貸付けしている金銭の利息収入
役員から会社への金銭貸付けについて、利息を受け取っていれば、雑所得として確定申告が必要です。

2.生命保険契約等の満期保険金などの収入
生命保険会社等から満期保険金や解約返戻金などを受け取った場合は、一時所得として確定申告が必要な場合があります。
生命保険契約等の契約者(保険料負担者)と満期保険金の受取人が同一人でない場合は、贈与税として申告が必要になります。

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3.投資に係る収入
株式投資やFX取引などの収益については、確定申告が必要な場合があります。
(1)上場株式等
上場株式等の譲渡や配当による収益は、次のような場合、確定申告が必要です。

  • 「源泉徴収なしの特定口座」における譲渡による収益が20万円超である。
  • 譲渡損失を翌年に繰り越す。
  • 配当と上場株式等の譲渡損失を通算する。
  • 配当控除を受ける。

(2)FX取引や仮想通貨の取引など
FX取引(外国為替証拠金取引)や仮想通貨(暗号資産)の取引による損益は、確定申告が必要な場合があります。

4.資産の譲渡による収入
不動産や金などの資産を売却した場合にも原則として確定申告が必要です。
マイホームを売却して3,000万円の特別控除の特例や譲渡損失を他の所得と通算する特例などを受ける場合には、確定申告が必要になりますので注意しましょう。

5.収入がないのに申告しなければならないもの
(1)個人事業者の自家消費
自家消費とは、事業のために仕入れ又は製造した商材等を自身の生活のために消費することです。販売用資産などの自家消費は、現金等の収入を伴いませんが、次のいずれか高い金額を収入に計上する必要があります。

  • 仕入金額(製造原価)
  • 売値の70%


(2)預かった敷金や保証金の償却
アパートを賃貸し、入居者の退去時に、部屋の原状回復費用と、預かっていた敷金を相殺した場合は、次のように別々に計上することになります。

  • 原状回復費用→「修繕費等」として計上
  • 相殺した敷金→「収入」として計上

(3)消費税の益税等
個人事業者が、消費税の経理処理について税抜経理を採用している場合に発生した益税もその発生した年の収入に計上しなければなりません。

<参考>確定申告で還付を受けられる場合があります
①医療費控除
昨年1年間に支払った医療費について、確定申告をすれば、医療費控除が受けられることができます。申告には、領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必要です(領収書は5年間保存)。明細書には、医療を受けた人・病院・薬局ごとに合計して明細を記載しますが、協会けんぽ等から交付を受けた「医療費のお知らせ」などを添付すれば、明細の記載が不要になり、総合計額のみの記載でよいことになります。
※「医療費のお知らせ」には、ドラッグストア等で購入した市販薬の明細は記載されませんので、その分は「医療費控除の明細書」にその明細を記載する必要があります。

②災害や盗難による損失控除
震災、風水害、雪害などの自然災害、火事などにより自宅や家財、自家用車に損害を受けた場合、盗難や横領により金品を失った場合などで、一定の損害額が生じている場合には、雑損控除の適用を検討しましょう。

③株式配当を受けている場合
株式配当については、10万円以下(年1回の配当の場合)であれば「確定申告しない」という選択が可能ですが、あえて「確定申告する」ことにより配当控除という税額控除の適用を受け、20.42%の税率で源泉徴収された所得税等の一部について、還付を受けられる場合があります。