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「経営計画」は、社長が経営の良否を判断する基準となるものです。経営計画を経営に役立つ「生きた計画」とするには、社長の想い(経営理念)に基づく具体的な経営方針と数値目標を作成することが必要です。社長が経営計画を立てることは、社長自身の強い動機付けとなり、また社員が業務を行う上での道標となります。
「生きた経営計画」にするには?
経営者の中には「計画よりも売上が大事」「経営計画を作成してもその通りにはならない」というお考えの方も少なくないと思います。
経営計画が、単なる数値の羅列ではなく、「生きた計画」として活用されるためには、社長の想い(経営理念)を実現するための具体的な方針や方向性、戦略を「経営方針」としてまとめ、さらにそれを数値目標に落とし込み、経営計画に盛り込んでいかなければなりません。
従来の仕事の踏襲だけでは事業は衰退してしまいがちです。経営者自らが新しいことへチャレンジする姿勢も織り込みましょう。
【事例】社長の想いがヒット商品へ
西川株式会社「時代に合わせた取捨選択が新たな伝統をつくる」
創業450年の老舗寝具大手・西川株式会社は、蚊帳の行商から始まり、二代目がこれまでにない色付けした蚊帳をヒットさせ、明治に入ると「家庭でつくるもの」だった布団を商品化するなど、世の中のニーズを捉え、新しい風を送ってきた企業です。
2006年、西川康行氏が39才で社長に就任した当時は、婚礼布団などが激減し、最盛期の半分にまで売上が落ち込み、購買層も高齢層が大半という状況でした。そんなとき思いついたのが、これまでにない斬新な色遣いと機能性を追求したマットレスでした。しかし、社内からは「それまでの布団の常識にない」「新しいことに挑戦する必要はない」と猛反対にあります。しかし、二代目の色付け蚊帳など先祖から受け継がれる偉業などを例に、社員と話し合って完成したマットレス「Air」は同社の看板商品にまで成長しました。
西川社長は、「変えてはいけないものと、変えなければならないものがあり、変えてはいけないものが経営理念や考え方で、変えなければならないものはその手段です」と明確な経営方針を打ち出し、会社を新たな成長軌道に導いたのです。
"社長の想い"を実現するために具体策を書き出そう!
経営方針を策定する際には、「基本方針」(例:顧客第一主義、重点主義など)、「商品・サービス」「得意先・顧客」「販売促進」「新商品・新事業開発」「内部体制」などの項目について、どのような活動によって、経済的な価値を生み出し、顧客に提供していくのかを検討し、具体策を盛り込むようにします。
社長の頭の中にあるプランを書き出し、明文化しましょう。その際の着眼点を以下に挙げておきます。
(1)基本方針
・自社の経営理念を実現するための対象(地域、業界、顧客層)は何か?
・その対象に自社が提供する価値は何か?
・新しいことへのチャレンジはあるか?
(2)商品・サービス
・新たな商品の販売予定はあるか?
・重点商品・サービスは何か?
・価格政策を検討しているか?
・既存商品の改良、新色や新サイズの導入などの予定はあるか?
・自社製品が業界紙等で紹介されたか?
(3)得意先や顧客
・主要得意先への営業強化によってより多く買ってもらう見通しがあるか?
・新商品によって新規顧客を開拓する予定はあるか?
・指名買いは多いか?
・優良販売先はあるか?
・与信管理を行っているか?
(4)販売促進
・広告、チラシ、ダイレクトメールなどの広報活動の予定はあるか?
・受注予定の案件はあるか?
・ECサイトでの販売は伸びているか?
・営業所の新設などの予定はあるか?
・新規開拓のための営業予定はあるか?
(5)新商品・新事業開発
・開発・進行中の新商品、企画はあるか?
・新商品・新事業の販路は決まっているか?
(6)内部体制
・新規採用の予定はあるか?
・働き方・休み方改善の予定はあるか?
・人材教育・育成の予定はあるか?
・新型設備の導入予定はあるか?
・AI・IT機器の導入予定はあるか?
具体的な考え・戦略から明らかになったら、どのような商品をどこに(顧客)、どのように(営業活動)、いくら(価格)で、何個(数量)売ればよいか、数値の目安が付きます。「数量単価」にまで落とし込み、自社の固定費を賄うだけの粗利益はいくら必要かがわかれば、次のステップとして数値計画として落とし込んでいくことになります。
社長自らが考え抜いた経営方針を明文化し、数値とともに社員と共有化することで、社員が目標達成に向けて動機づけられ、いわば「経営計画」が「生きた計画」になるのです。
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