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小さな会社の「必勝の経営術」軽装備の経営と社長の実玉が決め手

2019年12月 9日

カテゴリ: 経営

戦いにおいて、兵力数が少ない軍隊がゆっくり行動していると、兵力数の多い軍隊に包囲され、壊滅的な打撃を受ける危険性があります。そのため兵力数の少ない軍隊は、動きを早くする必要があります。経営においても同様であり、競争条件の不利な会社が、大きな会社に負けないためには、動きの速さを重視した軽装備の経営が必要です。
※本稿は、竹田陽一氏(ランチェスター経営代表)の執筆によるものです。

<弱者の戦略11>
軽装備に徹し、動きの速い会社を目指せ

(1)資金配分を見直す
軽装備な経営の一つは「資金配分」にあります。資金の配分先には、預金、売掛金、商品在庫、原料在庫、機械、設備、土地、建物、車両運搬具などがありますが、限りある資金の中で、競争力を強くするには、重要性が低いものは節約しなければなりません。
資金繰りの安全性を高めるために、次の点に注意しましょう。

  1. 事務所の備品類や社長の乗用車にはあまりお金をかけない。
  2. 工場の機械・装置などで使用頻度の低いものは、中古品や外注を利用する。
  3. 売掛金回収期間の短縮化を図る。

限りある資金を「どのような比率」で配分すれば、経営力が最も強くなって業績が良くなるのか、この見極めが必要です。これが「資金戦略」になります。

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(2)固定比率と総資本回転率でチェック
資金配分は重要ですが、部分最適が必ずしも全体最適になるとは限りません。そこで、固定比率や総資本回転率をチェックし、安全性を考えた資金配分を行う必要があります。
①固定比率(%)
(固定資産+繰延資産)自己資本100
機械・設備の増設を検討する際には、固定比率を計算しましょう。一般に自社の固定比率が業界平均の1.5倍あれば、資金の固定度がかなり高い状態にあり、1.7倍であれば自社の資金能力を超えた危険な状態にあるといえます。

②総資本回転率(回)
純売上高総資本
総資本回転率は、流動資産や固定資産に投下された総資本が売上高によって何回回収されたか、いわば資金が適正に使われているかどうかをチェックする指標です。
業界平均を1とした場合に、自社の回転数が0.75であれば悪い状態にあり、0.58であれば危険な状態といえるでしょう。このような場合は、思い切った改善が必要です。

(3)軽装備な組織をつくる
軽装備な経営のもう一つは「組織」です。
それには3つの要素があります。

  1. 粗利益を生み出す仕事に、より多くの人を配置する。
  2. 経理など社内で行う仕事は徹底して合理化し、作業量を少なくする。
  3. 役職者の数を減らし、組織の階層を少なくする。


<弱者の戦略12>
社長は競争相手よりも多く仕事せよ

(1)社長の実力を高めるには?
多数の競争相手がいる中で業績を良くするには、同業者よりも「社長の実力」を高めなければなりません。
「社長の実力」は「仕事時間2質」で表すことができます。これを微分すると時間が67%、質が33%になり、ほぼ7対3の比率になります。「社長の実力」を高めるには、まず競争相手よりも仕事時間を多くする必要があります。
中小企業の年間平均労働時間は1,850時間とされますから、ここに「ランチェスター法則」によって導き出された「必勝の条件」(競争相手の1.73倍の経営力を投入する)をもとに計算すると、社長が働く時間は、年間3,200時間になります。
社長の始業時間は、遅くても7時30分より前に設定しましょう。終業時間が夜遅い小売業や飲食業は、始業時間をずらします。

(2)質を高めるには?
働き方改革において「時短」が叫ばれる中、このような「時間戦略」については、疑問を持つ人もいるはずです。社長の実力は「仕事時間2質」ですから、仕事時間のほか、業績を良くするには、質を高めることが欠かせません。
質の中心は「戦略」であり、「商品戦略」「地域戦略」「営業戦略」などが主な対象になります。これを担当するのは社長の役目ですから、社長は経営戦略の研究に力を入れるべきです。社長の労働時間の3~5%を経営戦略の研究に当てると、バランスがとれた時間配分になります。
社長が仕事に投入する時間が多くなり、かつ、戦略策定力が高まれば、それにつれて会社の業績は良くなる可能性が高まります。まずは、社長の仕事時間を再点検しましょう。

【事例】業績の良い社長は早起きである
著者:竹田陽一氏(ランチェスター経営代表)が企業調査会社勤務時代に、業績の良い会社の社長の出社時間を調査したところ、業績の良い会社ほど、社長の出社が朝早い傾向にあり、平均出社時間は7時30分でした。
一般的な始業時間が9時や9時30分ですから、業績の良い会社の社長は競争相手よりも平均で1時間30分~2時間多く働いていることになります。

執筆者(竹田陽一氏)からのメッセージ
「経営」を、経済力な価値をつくり出すシステムと考えてください。
社長が弱者の戦略をヒントに上手に経営システムをつくれば、効果的な仕事を全員で実行することができるでしょう。すると、従業員1人当たりの経営利益が業界平均よりも多くなるはずです。
反対に、社長の経営システムのつくり方が悪ければ、仕事が効果的に行われなくなるため、1人当たりの経営利益が業界平均よりも少なくなります。
自社の経営システムの問題に気づくには、月次決算データを「TKC経営指標(BAST)」のデータなどと常に比較することです。いち早く問題に気づき、素早い対応をとることで、思わぬ大きな失敗を防ぐことができます。