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経営理念で会社の未来を変える!

2019年12月 2日

経営理念とは、会社の創業者や経営者が、経営において大切にしている基本的な考え方を明文化したもので、企業活動において守るべきポリシーというべきものです。新しく理念をつくったり、理念を変えることで、事業内容の転換や拡大を図って成長を遂げた会社もあります。

中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、従来の方法や思考だけで乗り切ることが難しくなっています。しかし、世の中の変化を捉えて、発想の転換を図り、理念を新たに作成したり、現代的に変えることで新たな事業展開や行動を生み、事業の拡大に成功した企業があります。以下の2つの事例は、経営理念の重要性を示した好事例といえるでしょう。

<事例1>経営理念を変え、白アリから防除から住環境価値を創造する企業へ脱皮!
株式会社アイジーコンサルティング

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●白アリ研究・防除に取り組み120年
株式会社アイジーコンサルティング(本社:静岡県浜松市)は、創業者・満尾計佐次氏が「木造の建造物が白アリによって崩壊することを何とか食い止めたい」との社会的使命感から、1899年に白アリ防除の研究を始めたのがスタートです。その後、二代目の義弟・井上芳良氏が、歴史的建造物や重要文化財の白アリ防除を事業として軌道に乗せ、1969年、三代目・井上裕剛氏は、株式会社井上白蟻研究所を設立し、一般戸建て住宅の白アリ防除や腐朽対策にも目を向けて事業を拡大します。
転機は、現社長(四代目)・井上剛一氏の就任(1996年~)でした。前年に発生した阪神・淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊し、中でも白アリによる腐朽対策に遭っていた建物の約8割が全半壊しました。そのような中、井上社長は「本来、人が安心して暮らし、幸せを育む場である"住まい"によって人命が失われるという不幸が起こってはならない」との思いを強くしました。
その一方、悪質な同業者の存在は、白アリ防除会社の社会的なイメージを損ない、社員も仕事に自信や誇りを持てず、若い人材も集まらないという状況をつくっていました。

●防除から、住環境を育む会社へ
同社は、顧問税理士からのアドバイスや創業以来の歴史を振り返り、「白アリ防除そのものが事業目的ではなく、住環境や社会インフラの維持・整備を通じて社会に役立つことが事業目的であり、使命であり、そこに自分たちの誇りと喜びがある」という思いに至りました。
その結果、経営理念を「快適な住環境事業の創造を通じて社会と社員の生活向上に貢献する」に変え、社名も現在の「アイジーコンサルティング」へと変更しました。それまでの、白アリ防除を中心とした事業から、"住環境を育む会社"へと脱皮して、住宅の新築、メンテナンス、リフォーム、耐震補強など幅広く事業を展開し、若い人材も集まり、住環境価値創造企業として日々邁進しています。

【企業理念】
快適な住環境事業の創造を通じて、社会と社員の生活向上に貢献する

提供価値―住環境価値創造企業―
「企業は人なり」社員一人ひとりの成長が企業の成長。世のため人のため、創業の理念を胸に刻む。人間力を高めていく中で個性を発揮できる。そんな組織を目指しています。

<事例2>"産廃屋"から最先端のリサイクル産業への転換!
石坂産業株式会社

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●年商の7割を捨て、焼却事業から脱却
石坂産業株式会社(埼玉県入間郡三芳町)の創業(1967年)の原点は、創業者・石坂好男氏が、まだ利用できる建材廃材がゴミとして平然と捨てられる様に心を痛め、「ゴミを捨てる時代を終わらせて、リサイクルの時代にしたい」との志にあります。

同社は、産業廃棄物の選別と再資源化の技術研究に取り組み、すべての廃棄物を再資源化する統合リサイクル業を目指して、1997年、業界に先駆けて「ダイオキシン対策焼却施設」を稼働させました。ところが、その矢先、「埼玉県所沢産野菜から高濃度のダイオキシンが検出される」という報道(後に誤報と判明)が起こります。
同社の施設が原因ではありませんでしたが、ひときわ目立つ焼却炉は、住民から「石坂産業反対!」「町から出て行け!」という謂われのないバッシングとなりました。「地域に必要とされなければ意味がない」との思いから、最新鋭の焼却炉を廃炉にするという苦渋の決断をします。それは年商の7割を稼ぐ焼却事業からの撤退でした。

●「脱・産廃」の姿を一般に公開
それでもバッシングが止まらない中、現社長・石坂典子氏は、社長職の引継ぎを決意します。石坂社長は、まず「脱・産廃」を掲げ、これまでなかった経営理念を作成し、リサイクル事業への特化に取り組みました。すべての産廃処理施設を全天候型屋内プラントにして、騒音、振動、粉塵などを防ぐとともに、本社を近代的なビルに建て替えて産廃業のイメージを一新させました。
また、「工場内が見えないのでかえって不安」という地域の声に応えて工場見学用通路を整備し、内部を一般公開しました。このことは、社員にも刺激を与え、率先して掃除や整理整頓に取り組み、笑顔で挨拶するなど、活性化につながりました。

●再資源化率98%を達成!
同社は「地域に貢献し、地域に必要とされる企業になる」ことを目指し、工場周辺の山を、多くの絶滅危惧種が戻る美しい"くぬぎの森"へと再生させ、工場や里山の見学に年間約4万人が訪れるほどになりました。
資源再生事業は、ゴミを出さず、資源を循環させる暮らしを、人や企業に広め、実現していく同社使命のもと、今や、産廃の分別技術の開発によって、再資源化率98%を達成するリサイクルメーカーへと転身を遂げ、年商は51億円と倍増しました。

<石坂産業の理念>
【経営理念】
謙虚な心、前向きな姿勢、そして努力と奉仕

【コーポレートスローガン】
自然と美しく生きる

【私たちの使命】
自然と共生する、つぎの暮らしをつくる