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パート収入と税金・社会保険の壁はドコ?

2019年10月 7日

この時期になると、経理担当者のもとにパートやアルバイトで働く従業員から、「年収の見込額」や「税金や社会保険の扶養家族の範囲内に収まるか?」「収入と所得の違いは?」などの質問が寄せられます。"〇〇万円の壁"などといわれる税金・社会保険の扶養ラインについて早めに情報発信をしましょう。

1.「収入」と「所得」の違い
収入(年収)と混合しがちな言葉に「所得」があります。年末調整時に記入する「扶養控除等(異動)申告書」には、「所得」を記載する欄があるため、従業員からの質問の多いところです。

(1)収入(年収)とは?
収入が給与(賞与を含む)のみの場合、給与の手取額ではなく、所得税の源泉徴収や社会保険料等を差し引く前の額が「収入(給与収入)」です。なお、非課税の通勤手当は収入に含まれません。

(2)所得とは?
収入(給与のみの場合)から給与所得者の必要経費にあたる「給与所得控除」を差し引いた額が「所得(給与所得)」になります。

(3)給与収入103万円=所得38万円
例えば、給与収入が103万円であれば、ここから給与所得控除(この場合は65万円)を差し引いた額の38万円が所得になります。
したがって、「給与収入103万円」と「所得38万円」は同じ意味になります。
「所得38万円」から「基礎控除38万円」を差し引いた額が「課税所得」になり、「課税所得」に所得税率を乗じた額が所得額になります。
つまり、年収103万円(又は所得38万円)は、課税所得が0円になるため、所得税が課税されないというわけです。
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2.所得税と「103万円の壁」
(1)配偶者控除のラインは?
「103万円の壁」などといわれるように、例えば、夫がサラリーマン(正社員)で、妻がパートで収入を得ている夫婦共働きの場合、妻の収入(パートによる年間の給与収入の他に収入がない)が103万円(所得38万円)以下であれば、次のようになります。

所得税は課税されない。 
※100万円を超えると、住民税が課税されます。
所得税の配偶者控除が受けられる。 
※給与収入(目安)1,220万円以下であること。

(2)「103万円の壁」を超えると?
妻のパート収入が103万円を超えると、次のようになります。

所得税が課税される。
配偶者控除が受けられなくなるが、一定の要件を満たせば、配偶者特別控除が受けられる。
(注)妻のパート収入が201万円以下で、夫の給与収入(目安)が1,220万円以下であること(夫の所得合計が1,000万円以下)

(3)給与収入以外に収入はないか?
妻のパート収入が103万円以下であっても、例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金、家賃、原稿料、配当、FX取引による収入、仮装通貨(暗号資産)の売却収入などがあれば、それらを含めた合計で103万円(合計所得38万円)を超えてしまうと、所得税が課税されるとともに、夫の配偶者控除と配偶者特別控除にも影響を与えます。


(4)ネットオークションなどの収入は?
最近は、パート収入以外に、ネットオークションやフリマアプリなどによって収入を得ているケースがあります。税務では、不用となった家具、衣服、自家用車などの生活必需品の売却による所得には課税されません。
一方、せどりや転売、自身で製作した手芸品や模型などの売却収入は課税対象になります。ただし、年末調整のみで所得税が確定する場合は、収入から必要経費(仕入や材料費など)を差し引いた所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。

3.社会保険の扶養ライン「130万円と106万円の壁」
一般に、妻のパート収入が130万円以上になると、夫の社会保険の扶養家族(被扶養者)からはずれて、社会保険に加入しなければなりません(130万円の壁)。
また、従業員501人以上の企業では、パートタイマーであっても、月額賃金が8万8,000円以上(年額105万6,000円)で、一定の要件を満たせば、社会保険への加入が義務付けられます(106万円の壁)。大手企業にパート勤務している配偶者がいる場合は、該当するケースがあります。
パート収入と税金、社会保険の扶養の範囲を一覧図で表すと下記表のようになります。

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