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「キャッシュレス・消費者還元事業」への対応と注意点

2019年7月15日

10月1日から「キャッシュレス・消費者還元事業」(ポイント還元事業)が始まります。この制度は、消費税率引き上げ前後の需要の平準化を図ることと、消費者の利便性向上、中小・小規模事業者の現金管理リスクの低減などを目的に国が実施するものです(令和2年6月までの期間限定です)。

1.ポイント還元事業のしくみと概要
ポイント還元事業は、対象となる中小・小規模事業者(以下、中小企業)の店舗等において、キャッシュレスで決済した消費者に購入金額の5%(フランチャイズ等の場合は2%)をポイント還元する制度です。

ポイントを発行するのは、クレジットカード会社などの決済事業者であって、中小企業にポイント発行の負担はありません。

キャッシュレス決済の導入に必要な端末等の費用や期間中の決済手数料については、国が決済事業者へ補助をすることで、中小企業の費用負担を少なくしています。

(1)対象となる中小企業
原則として、資本金が従業員数のいずれか一方を満たす中小企業がポイント還元事業の対象になります。ただし、課税所得が15億円超の事業者は対象外です。

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【対象となる中小企業】

業種資本金又は出資の総額常時使用する従業員の数
製造業その他 3億人以下 300人以下
卸売業 1億人以下 100人以下
旅館業 5千万円以下 200人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

(2)対象となる取引と決済手段
ポイント還元事業の対象となる店舗等において、支払いの手段としてクレジットカード/デビットカード、電子マネー、QRコード決済を利用した場合にポイントが付与されます。

対象となる取引は、次に揚げた取引以外のものです。

< 対象とならない取引 >

  • 有価証券等、郵便切手類、印紙、商品券、プリペイドカード
  • 自動車(新車・中古車)の販売
  • 新築住宅の販売
  • 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
  • 宝くじ等の公営ギャンブル
  • 給与、賃金、寄附金等

2.中小企業の対象と注意点
(1)事業者のメリットとデメリット
ポイント還元事業を機にキャッシュレス決済の導入を検討する企業は、まずメリット・デメリットを確認しておきましょう。

【メリット】

  • 現金の手持ちがなくても購入できるため、顧客の取り組みが期待できる。
  • 年間3千万人超の外国人観光客等のインバウンド消費の獲得につながる。
  • 現金管理のリスク(盗難、釣銭間違い、レジ締め、入出金の手間)を削減できる。
  • 預金や信販取引のデータを会計データと連携することで、入力の手間を削減できる。

【デメリット】

  • 決済事業者に手数料を支払うため、粗利益が減少する。
  • 現金売上と比較して入金が遅くなる。
  • レジ周りに端末を置く必要がある。

(2)戦略的な対応を考えよう
10月以降は「キャッシュレス決済対応店舗かどうか」が店選びの基準の一つになることが予想され、キャッシュレス決済に未対応では、機会損失につながることが懸念されます。

そこで、ポイント還元事業に中小企業が参加しやすいように、以下の施策が講じられています。キャッシュレス決済導入の良い機会であるため、メリットやデメリットを踏まえ、導入を戦略的に検討しましょう。

●ポイント還元事業参加企業の施策

  1. キャッシュレス決済に必要な端末代金の費用負担をゼロにする。
  2. 期間中の決算手数料が実質2.17%以下になる。

(3)ポイント還元事業への加盟店登録
ポイント還元事業へ参加するには「キャッシュレス・消費者還元事業」の加盟店として登録が必要です。本制度のホームページから決済事業者を選び、手続きをご確認ください。
キャッシュレス決済を導入済みの事業者が現在の決済手段を引き続き利用する場合は、決済事業者への連絡が必要です。

【主なキャッシュレス決済の決済事業者等】

クレジットカード JCB、アメリカンエキスプレス、三井住友カード、三菱UFJニコス、楽天カード、イオンクレジットサービス、オリエントコーポレーション、UC、ライフカード、ジャックスなど
電子マネー Suica、nanaco、楽天Edy、WAON、QUICPay、iDなど
QRコード決済 PayPay、楽天ペイ、LINE Payなど