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小さな会社の「必勝の経営術」①ランチェスター法則で経営を再点検してみよう!

2019年4月15日

情報が溢れ、環境変化の激しい時代において、小さな会社が業績を伸ばすには、人・物・金の豊富な大企業が採用する戦略をまねても上手くいきません。小さい会社ならではなの戦略として、ランチェスター法則から生まれた「弱者の戦略」があります。このような経営原則は、小さな会社が採用すべき戦略です。今月号から連載で、その内容を紐解いていきます。

1.経営システムを構成する要因を点検する
実際に経営を行うには、経営システムを作る必要があります。経営システムとは、経済的な価値を作り出す機械装置、又は経営プラントと考えてください。
業績低迷、人手不足が深刻化する中で業績を良くするには、経営システムを構成する大事な要因を一つひとつ点検し、経営の質を高めることが欠かせません。
経営の中心は形がないので、経営を構成する大事な要因を明確にするのは難しいのですが、会社は、粗利益をエネルギー源に生きており、その粗利益は顧客からしか生み出されません。経営を構成する大事な要因を考えるときは、まず、顧客を出発点にするとよくわかってきます。

2.戦略を考える
経営システムを構成する大事な要因が明確になれば、次は、その要因に対して「どのような考え方で目標を決め」「どのような考え方で運営するか」を考える必要があります。
これが「戦略」になります。
「戦略」という用語は、もともとは軍事用語ですが、経営においては、「社長の経営術」であり、全社的経営競争の勝ち方のルール又はその知恵を意味します。

【経営システムを構成する7つの要因】(経営システムの質を高める時の点検対象)

1.商品対象 どのような商品・サービスを中心にするか。
2.地域対策 自社の商品をどこの地域を中心に販売し、地域の範囲はどこまでにするか。
3.業界と客層対策 どの業界やどの客層を中心にするか。
4.営業対策 上記の商品、地域、業界と客層の3つに対してどのような方法で顧客を作るか。新しい顧客のつくり方が1つだけでは、偏りが生じてしまい営業力が弱くなるため、営業力を強化するには、3種類は実行すべきです。
5.顧客維持の対策 一度つくった顧客を失わないために、いかに維持するか。
6.組織対策 どの仕事とどの仕事に何人ずつ配分し、役割分担はどのようにするか。従業員の教育と賃金などの処遇をどのようにするか。
7.資金と経費対策 これらを実行するときに欠かせない賃金は、何と何に対していくらずつ配分すると、経営力が最も強くなって業績が良くなるか。
これらを実行するときに欠かせない経費は、どの仕事とどの仕事に対していくらずつ配分すると、営業力が最も強くなって業績が良くなるか。



3.ランチェスターの法則とは?
それでは、具体的な手の打ち方はどうするのか。その手掛かりとなるのが、本題の「ランチェスターの法則」です。
イギリス人技術コンサルタントのフレデリック・W・ランチェスター(1868~1946年)は、第一次世界大戦の勃発に刺激を受け、1914年10月に、戦闘における力関係(攻撃力)はどのようにして決まるかについて、次の2つの法則を発表しました。

(1)第1法則(接近戦・一騎討ち戦)
刀や槍等の武器性能などの質が変わらないければ、攻撃力は兵力数に比例するという法則です。
◎攻撃力=兵力数(量)武器性能(質)
この法則は、刀や槍など銭湯範囲が狭い兵器を使い、敵に接近し、一対一で戦いをしたときに成り立ちます。攻撃力を最大限に活かすには、敵に接近して一対一の戦いに有利な状況(山の険しい所、森が深い所など)を戦場に選び戦うことになります。

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(2)第2法則(間隔戦・確率戦)
銃や戦車・戦闘機等の武器性能などの質が変わらなければ、攻撃力は兵力数の2乗に比例するという法則です。
◎攻撃力=兵力数2武器性能(質)
この法則は、ライフル銃や機関銃、戦車・戦闘機など、射程距離が長い兵器を使い、敵と離れて戦ったときに成り立ちます。
攻撃力を最大限に活かすには、兵器の射程距離が活かせる、見通しが良い平地を選び、かつ離れて戦いができる陣形を組めば、兵力の数が圧倒的にものをいいます。

実際に第二次世界大戦では、アメリカはこの法則をもとに作戦を立て、ドイツ、日本に勝利しました。

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4.強者の戦略と弱者の戦略
ランチェスターの法則は、多くの学者や経営者によって、経営への応用が研究された結果、経営のやり方には、「強者の戦略」と「弱者の戦略」があることがわかりました。

(1)強者の戦略
市場占有率(県単位又は自社活動エリアのどちらか広いほう)が1位で26%以上を押さえ、かつ2位との間に10対6以上の差をつけている会社、すなわち競争条件が有利な会社だけが実行できる戦略です。

(2)弱者の戦略
2位も含め、この条件を満たしていない会社、すなわち競争条件が不利な会社が実行しなければならない戦略です。強者の戦略とは全く逆の戦略になります。
次回からは、「強者の戦略」や「弱者の戦略」について解説していきます。