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月次決済は、毎月、会社の業績をいち早く掴み、経営に役立てるために会社が自ら行うものです。月次決済に基づく業績データを、会社業績を見る共通語として、経営者と社員、金融機関、会計事務所と共有化をはかりましょう。
月次決済データを共有して自社の応援団をつくる
月次決済データは、経営者だけのものではなく、社員、金融機関、会計事務所との共通語として、広く活用されるべきものです。
(1)社員が経営者と同じ方向を向く
社員が、売り上げ、変動費、限界利益、固定費、経営利益などの正しい数値から自社の現状を知ることで、前月の営業活動を振り返って次の行動に生かすとともに、経営者と同じ方向を向いて活動することができます。
(2)金融機関からの信頼性が高まる
月次決済データを金融機関へ提供し、金融機関との対話を深めることで、信頼性が高まり、円滑な資金調達の可能性につながります。
(3)会計事務所からのアドバイス
会計事務所の月次巡回監査によって月次決済データの信頼性が高まるとともに、月次決済データをもとに会計事務所から、経営について的確なアドバイスを受けることができます。
月次決済を共有して、経営者が社員、金融機関、会計事務所との対話を進めることは、自社の応援団を増やすことにつながります。
経営者の正しい経営判断には月次決済が不可欠
例えば、「請求書と納品書ベースで毎月の売上や仕入は把握している。頭の中で、おおよその月次の損益は掴んでいるから、月次決算をしなくても経営判断はできる」という経営者もおられます。
経営者の頭の中にある数値と月次決算による数値に差異がなければよいのですが、差異が大きければ、誤った経営判断をすることになります。月次決算データがあってこそ、経営者は正しい経営判断をすることができます。
月次決算を早期化し精度の向上をはかる
正しい経営判断に必要なことは、月次決算の早期化と精度の向上です。これは、共通語としての月次決算データの信頼性も高めます。月次決算の基本は、日々の記帳と現金管理、証憑書類の整理保存、そして発生主義による売上、仕入の計上です。まずは、基本を面倒くさがらず、後でまとめてやろうなどと考えず、日々きちんと行うことが大事です。
(1)売上・仕入れを早期に掴む仕組みをつくる
月次決算の早期化には、毎月の売上と仕入れの金額を早く確定させる仕組みが必要です。これには他部署(営業、購買、経理部門)の協力が必要です。
●早期化のための仕組みづくり
- 取引先に請求書の早期発行を依頼する。
- 納品書ベースで売上、仕入を計上する。
- 販売・購買システムの導入を検討する。
- 「月次の数値が早く見たい」と経営者が意思表示をする。
(2)必要に応じて、月割計上する
月次決算の12か月分の累積が、期末の決算数値になります。ところが、期末の決算数値と、毎月、業績確認をしてきた結果とが大きく異なっていては困ります。
業種にもよりますが、月次の損益や経営者の経営判断に影響するような金額の大きいものや重要性に影響するような金額の大きいものや重要性の高いものについては、月割や概算額を計上して発生額を平準化し、損益への影響を回避することができます。
1.減価償却費・賞与見積額の計上
減価償却費は期末に一括計上するものですが、年間見積額を月割計上すれば、月次の業績に反映させることができます。
賞与は、年間の見積額を月割計上すれば、賞与支給月に費用負担が集中することを避けることができます。
2.在庫の計上
実地たな卸を毎月行って、月末の在庫を計上すれば、毎月の売上原価と粗利益を掴むことができます。しかし、毎月の実地たな卸は容易でないため、金額の大きい商品に絞る、予定原価率によって概算計上する、などの方法によります。
3.年払いの経費の月割計上
労働保険料や固定資産税、損害保険料など年払いや特定月にまとめて支払う経費のうち、月次の損益に大きく影響する項目については、月割で計上します。
ただし、月次決算の早期化や精度向上に捉われすぎて、経理業務を煩雑化しては意味がありません。当事務所と相談し、自社に合った経理処理やFX2等の自計化システムの効果的な利用を検討しましょう。
今後、TKCモニタリング情報サービスなどによって、企業から金融機関に対して月次決算データなどを直接提供することが一般的になってきます。その意味でも月次決算の早期化と精度向上がますます重要になってくるはずです。
※TKC会計システムを利用している関与先企業からの依頼に基づいて、TKC会員事務所が決算書、月次試算表などの財務データを、インターネットを通じて金融機関に提供するサービスです。
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