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赤字経営が続くと、やがて資金繰りの悪化を招き、金融機関や取引先からの信用も低下し、会社の存続に影響を及ぼします。売上アップ、限界利益率の改善、固定費の削減の3つの視点に着目して、業績の改善策について考えてみましょう。
日本の中小企業の約7割が赤字といわれています。しかし、赤字経営でもやっていけるのは、「金融機関から融資を受けられている」「社長の個人資産をつぎ込んでいる」からではありませんか。
赤字が続けば、やがて金融機関も融資に応じてくれず、社長の個人資産も枯渇するでしょう。会社に支払能力がなくなると会社は潰れてしまいます。借入金の返済原資や事業資金は、利益によって生み出されます。黒字化を図り、納税後の残りを内部留保して自己資本を蓄積し、会社の経営基盤を安定させていなければなりません。業務改善に取り組み、黒字化を図りましょう。
1.限界利益率を改善する
市場が飽和し、売上が伸び悩む状況の中では、限界利益率の改善によって、利益を確保することが重要になってきます。
限界利益率は、「販売価格を改善する(売上単価を上げる)」か、「変動費を下げる」の2つによって改善することができます。
(1)販売価格を改善する
販売価格の改善は、なかなか難しいでしょうが、無料になっている業務や値引きを見直したり、不採算な商品や顧客の見直しなども、検討してみましょう。
(2)変動費を下げる
変動費については、商品・材料の仕入単価、外注加工費などの購入単価の引き下げや、仕入先や仕入方法の見直し、ミスやロス削減の具体策が望まれます。
2.固定費を削減する
費用を「削る」「切りつめる」は、「必要だけれどもやむを得ず減らす」ことであり、やがて無理が生じ、長続きしません。
そこで「もったいない」という気持ちを持って「大事に使う」「ムダをやめる」ことを続けていけば、自然と使用量が減ってきます。つまり「節約」です。節約には無理がないため、長続きしやすくなります。
固定費は、「費用対効果」の観点から、効果的に使われていない固定費を見直しましょう。固定費には、社長の判断で支出を抑えることが可能なものがあります。
3.売上アップを図る
売上アップについては、これまでの販売活動で当たり前のように続けてきたことを見直してみることも必要です。
自社の商品・サービスについて、発想や視点を変えたり、自社の強みや特長をもっと活かしたりすることで、新たな顧客や商品・サービスが生まれる可能性もあります。
<限界利益率の点検チェックリスト>
- 機能強化や用途を絞ることで、値上げができないか?
- 経営者の知らない値引きをしていないか?
- 限界利益率の高い商品の販売を強化できないか?
- 不採算な商品を見直せないか?
- 仕入価格の値下げ交渉や仕入先の見直しはできないか?
- 品質や機能の見直し、材質や加工方法の変更などで原材料費を引き下げられないか?
- 外注加工の内製化、反対に外注化によってコストダウンができないか?
- 物流ルートの見直しでコストダウンできないか?
- 発送・梱包費用をコストダウンできないか?
- 不良、返品、手持ち時間などのロスを削減できないか?
<固定費の点検チェックリスト>
- 交際費(飲食費・ゴルフ費用など)は業績に貢献しているか?
- 広告宣伝費、販促費等の支出の効果を定期的に点検しているか?
- 惰性で続けている支出や取引はないか?
- 新規の設備ではなく、修理・改良、中古で対応できないか?
- IT化によって業務の効率化を図れないか?
- 水道光熱費、事務消耗品を節約できないか?
- 全員で全社的に経費の無駄な支出がないかを点検しているか?
<売上アップの点検チェックリスト>
- 顧客ターゲットは明確になっているか?
- 顧客のニーズを捉えて商品・サービスに活かしているか?
- 納期・クレーム対応の遅れ、販売後のメンテナンスの悪さなどは起きていないか?
- 同業他社にない当社の良さを認識し、それを顧客にアピールできているか?
- 販売方法(卸、直販、通販)を見直せないか?
- 「業務用から家庭用へ」など市場を拡大できないか?
- 既存の商品・サービスの周辺や関連分野の商品を売ることができないか?
- 自社ホームページやネットショップによって、ネット販売を拡大できないか?
- 手作り、安心安全、地元産などの特長や得意分野を活かせないか?
- 特殊な技術、高品質、短納期、用途の特化、他社が引き受けないもの、などの特長をだせないか?
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