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業績検討をするためには部門別業績管理が有効です。部門別と聞くと「営業部門」などを連想しますが、実は、営業担当者別、商品別など、経営者が見たい単位に分けることを指しています。
業績を見るときには、小さな単位別に見ることで、問題点がより明確に把握できます。
社長が見たい小さな単位で業績を捉えてみよう!
税理士:今期の赤字の原因はどこにあるとお考えですか?
社長:心当たりはありますが、その要因を数値データで把握できていないので、改善点を具体的に示せないのです。
税理士:部門別の業績管理を導入すれば「稼いでいるのは何か?」「業績の足を引っ張っているのは何か?」といった課題が見つけやすくなります。
社長:何だか難しそうですね。それに、うちのような中小企業では、部門や部署と呼べるような組織はありません。
税理士:「部門別」聞くと、難しく感じる方が多いのですが、部門・部署という名称にとらわれることなく、例えば、商品別や担当者別など社長が見たい単位ごとのデータに分けて見る方法です。
月次決算と同時に、部門別に業績を把握すれば、何が自社の損益に影響を与えているのか、採算性のコストなどが明確になれば、業績向上のための対策がそれだけ的確になります。
業績評価や人事考課においても、根拠のある数値が示せれば、従業員も納得します。
社長:早速、部門別業績管理に取り組もう思います。
税理士:まずは、社長が業績を管理する上での小さな単位(「最小事業単位」ともいう)を考えてみましょう。
最小の単位としては、具体的に次のようなものが考えられます。ただし、分ける単位が複雑すぎたり、入力や会計処理に手間がかかりすぎると、負担になりますから、そのような点を考慮して設定しましょう。
小さな単位(最小事業単位)の具体例
・担当者別
例)営業担当者別、運転者別など
・商品群別
例)商品・グループの種類別・粗利益の異なるグループ別など
・顧客(得意先)別
例)下請け製造業など
・固定資産別
例)運送業での車両別・配送ルート別、製造業での生産設備別など
・部署別
・生産ライン別
・工事別
・曜日別
・時間帯別
・営業エリア・地域別
・支店、営業所別
例)小売業、飲食業、サービス業での店舗別など
部門別業績管理で自社の課題を発見しよう!
会社の業績を部門別(小さな単位)で捉えることにによって、自社の課題が発見しやすくなり、業績改善につながります。
<事例1>
印刷業X社は、長引く不況で業績が低迷し、赤字決算が続いていた。しかし、過去最低の業績となったことを機に、全社を挙げて経営改善に取り組んだ。
これまでは、社長の感覚による経営判断を重視して、せっかくの会計データを有効に活用できていないかったことから、まずは月次決算に基づくタイムリーな業績把握を行うとともに、得意先別、印刷種類別などの小さな単位を設定して業績管理を行った。
これによって、採算性の高い得意先や印刷種類別などが明らかになった。そこで、優良な得意先や商品に力を入れて、採算性の向上やコスト削減につなげ、黒字転換を実現させた。
X社の経営改善への取り組みは、金融機関からの信用を高めることになり、設備投資の際の融資をスムーズに受けることができた。
<事例2>
建設工事のための地質調査や測量を行うY社は、全社業績のみで経営判断を行っていた。しかし、建設不況の中で、利益を確保するためには、現場ごとの採算管理が不可欠なことから、現場別の業績把握に取り組んだ。
まずは、得意先ごとや現場ごとに集計できるように会計処理のルールを見直した。さらに、見積りについても、現場の担当者の感覚ではなく、人件費や経費など現場ごとの予算を集計した原価を元に作成し、作業後は、実際の原価との比較を通して、採算性を分析し、原価割れの仕事が発生しないように努力した。
結果、従業員にも、採算性やコスト意識が芽生え、現場での作業の改善などにも積極的に取り組むよになった。
(参考)小さな単位で業績管理を行うメリット
1.進出・撤退、拡大・縮小の判断に役立つ
部や課など、組織の名称にとらわれず、業績管理を行う組織の単位を明らかにして、業績を測定することで、単位ごとの利益率や、何に、どれだけコストがかかているかなどを把握できるため、どこに力を入れ(進出・拡大)、どこを縮小・撤退させるかなどの意思決定に役立ちます。
2.従業員に利益や採算、コスト意識が芽生え、社内も活性化する
部門別業績管理によって、利益やコストがより小さな単位で明らかになることで、従業員に、売上増、適正コストの維持、利益の確保について責任感が生まれます。社内に競争意識も生まれ、活性化につながります。
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