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-自社の足腰を鍛え、金融機関からの信頼を得る-
経営状況の変化が厳しい昨今においては、経営計画を立てて、業績目標を明確にして、業績検討をしっかり行うことが重要になります。
なぜ期中の業績検討が必要なのか?
年度末の決算は1年間の営業活動の着地点です。この直前に、目標と予算との数字にズレがあることがわかっても、挽回するすべはありません。目標を達成するためには、予算との差異が発生したときに、それに気付き、「なぜズレたのか?」、その原因を究明し、その後の行動に役立てることが大切です。
このように、予算に対して着地の精度を上げるためには、年度末ではなく、期中の業績検討を行うことが重要といえます。
さらに月次決算の精度を上げることで、期中の業績がより正しく把握できます。
なぜ、ズレが生じているのか?
まずは、前年同月の実績、予算それぞれと比較し、売上、限界利益率、変動費、固定費などに変化がないかを見てみましょう。
予算とのズレがあった場合には、その原因を究明することで次の打ち手につながります。
<チェックポイントの例>
- 主力・重点商品の売上が伸びているか?
- 主要得意先の売上が減少していないか?
- 値引きが増えていないか?
- 仕入単価の値上がりや不良・ロスの増加など、変動費が上昇していないか?
- 人件費(残業代、パート・アルバイト費)が増加していないか?
- 広告費、交際費、交通費などの経費が増加していないか?
期中の業績管理を行ったことによって、経営改善が進んだ企業の事例を見てみましょう。
<事例1>
金属加工業A社は、高い技術力によって多品種少量生産を行っていますが、様々な顧客ニーズに対応できる反面、単一製品の生産に比べて、コスト増や生産効率の低下を招くことから、利益の確保が積年の課題でした。
そこで、毎月の業績管理を実施し、売上、限界利益率、材料費について、予算とのズレを確認しました。
・原因究明と対策
予算とのズレについて、原因を究明したところ様々な課題が見えてきました。
多品種少量生産の特徴として、各技術者任せの部分が大きく、例えば、同じ材料を各担当者が発注するなど、仕入数量にバラツキがありました。
材料については、仕入担当者を置き、発注と在庫を一括管理することで、仕入コストの削減を図りました。
技術者の勘に任せた製造は、材料のロスが多くなる要因になっていたため、作業工程を再確認し、標準的なロス率を見える化して、ロス率の低下に取り組みました。
売上については、値引き要請が強く、自社の高い技術力を必要としない利益率の低い取引先からは、あえて受注しないようにしました。大きな決断でしたが、結果として限界利益率の向上につながりました。さらに、空いた時間を利用して技術力向上のための研修にも取り組んでいます。
<事例2>
法人を中心に、事務用消耗品や備品をルート営業するB社では、毎月、業績検討会を行っています。
B社のような卸売業には、限界利益率が低い、売掛金や在庫が増加しやすい、ルートセールスの営業マンに得意先の情報が集中する、といった課題があります。そのため、業績検討会を実施し、毎月の実績の把握と目標未達の原因を究明するだけでなく、情報の共有化を図りました。
・B社の業績管理への取り組み
業績検討会では、未達分の達成のために、例えば、「滞留債権や在庫について情報共有を図る」「重点商品を絞った営業攻勢をかける」「仕入先との価格交渉」などの対策を検討し、実行すべき対策を決定しています。
また、営業マンに、未達原因を分析させることで、次の行動への積極性が生まれるなど、業績検討会が、社員の能力を高める訓練の場にもなっています。
このように目標予算と実績が相違した原因を究明し、その対策を立て、事業方針を再検討する業績検討会を、毎月又は四半期に一度行うことで、目標とのズレを小さくしていきました。
金融機関のモニタリングの意味
このような社内での業績チェックを外部の金融機関が行って、予定どおり資金が返済できるかどうかをチェックすることを「モニタリング」といいます。
金融機関は、融資判断を的確、かつスムーズに行うために、融資先企業の経営状況を把握し、企業の業績のモニタリングを重視したいと考えています。
モニタリングと聞くと、監視されるなどのイメージもありますが、定期的にしっかりと業績管理を行っていることを金融機関にチェック・評価してもらうことは、自社の信頼性を高めることにつながります。
また、社長自らが、書類や資料を把握し、対策を実行することが非常に重要です。
期中で計画と実績の相違を検討できる体制をつくり、業績管理のサイクルを実践することによって、金融機関に対して、「自社の経営品質」に関する情報(シグナル)を自主的に、かつ積極的に提供する経営者が高く評価される時代が来ています。
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