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事業継承は社長の仕事

2017年10月16日

中小企業経営者の年齢は66歳前後がピークで、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳以上となるとされています。多くの企業が事業継承のタイミングを迎えますが、事業継承には5-10年という長期間の準備が必要です。後継者の育成を考えると、社長が60歳を超えたなら、事業継承の準備に取り掛かりましょう。

後継者をどうするか3つの継承パターン
後継者が決まっていれば、その育成があり、後継者がいなければ、第三者への譲渡など、将来を見据えた準備が必要です。

(1)親族への継承
社長の子や親族への継承の場合、後継者を早期に決めることで長期にわたる準備期間が確保できるうえ、相続等によって株式等を後継者に移転することができます。

(2)役員・従業員への継承(親族外継承)
「2016年版中小企業白書」によれば、近年は、経営者に子供がいても、事業の将来性や安定性のリスク懸念から、親族内継承は3割台にまで落ち込み、役員や従業員の中から後継者を選ぶ割合が6割を超えています。
社員が長年働いてきた役員・従業員が後継者であれば、経営方針等の一貫性が保たれ、内外からも受け入れやすくなります。一方で、親族株主の了解と協力を得て、あとで紛争が起きないようにしておかなければなりません。
役員・従業員が継承する場合の課題だった資金力についても、種類株式、持株会社、従業員持ち株会の活用、親族外後継者にも事業継承税制が適用されるなど、より継承しやすい環境が整ってきています。

(3)社外への引き継ぎ(M&A等)
親族や社内にも後継者がいなければ、株式譲渡や事業譲渡によって社外へ引き継ぐ方法(いわゆるM&A)があります。
この方法は、会社売却による社長のリタイア後の資金の確保だけでなく、従業員の雇用や取引先との関係の持続性を保てる可能性があります。
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(4)後継者が継ぎたくなる会社に!
事業継承の大きな課題は、後継者が見当たらない(候補者がいても、引き継ぎたがらない)ことです。事業継承は、後継者候補にとっても、人生の大きな選択ですから、会社の業績が低迷していて、事業に将来性を感じられなければ、事業を引き継ぐ意思が固まりません。
社長が築き上げた会社を誰かに引き継ぎたいとの思いだけでなく、黒字化に向けた経営改善に取り組み、企業価値を高めましょう。

人・資産・知的資産、3つの経営資源を引き継ぐ
後継者が安定した経営を行うために、3つの経営資源(人・資産・知的資産)をいかに引き継ぐかが重要です。

(1)人の承継
社長は、後継者との対話を通じて、経営理念、経験やノウハウ、取引先との関係などを引き継ぎます。後継者が経営に必要な能力を身につけるには5~10年が必要とされます。

(2)資産の承継
会社の保有する設備や不動産などの事業用資産、自社株式など、事業に必要な資産について、社長の保証関係も含め、いつどのように後継者に引き継ぐかを計画します。
株式の贈与・相続には、税負担の問題があるため、後継者に資金力がないと株式等が分散し、承継後の経営が不安定になるおそれがあります。税理士と相談し、税負担に配慮した方法を検討しましょう。

(3)知的資産の承継
知的資産とは、人材、技術、ノウハウ、ブランド力、信用、組織力、経営理念、顧客との関係など、貸借対照表上に表れない経営資源の総称であり、企業の競争力の維持と事業の継続性のために、必ず承継しなければならない資産です。
承継にあたっては、社長が自社の沿革や取り組みを振り返り、自社の経営の強み・価値の源泉を整理して、後継者との「対話」によって認識を共有化していくことになります。
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