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不正が起こりにくい仕組みをつくろう

2017年8月21日

社内不正は、会社内部の問題だけで終わらず、取引先や金融機関からの「信用低下」という大きな損害を被ることになります。

どうして社内不正が起こるのか?
不正は、素行の悪い人物よりも、ごく普通の人によって引き起こされる例が多いといわれています。
そのような例は、事務の不正やミスを防止するために、記帳を2人以上の担当者にしたり、現金等の出納・保管・記帳の業務を分けるなどの内部牽制が働きにくい中小企業ほど起こりやすいといえます。

  1. 職務が1人の従業員に集中している
    中小企業では、例えば、現預金の出納と記帳、請求書の発行と代金回収、値引き・割引の承認と売上計上などの業務を1人の従業員が兼務している例が少なくありません。
    このような場合、日常業務に対して、他者による二重のチェックが入りにくくなります。

  2. 不正を防止する仕組みが不十分である
    人的、金銭的にも不正を未然に防止する仕組みや社内の金銭・物品類の取扱ルールが明確になっていない会社の場合、不正やミスに気付きにくいことがあります。
    業務とその管理を区分することで、内部牽制機能が働きます。

  3. 公私混同が見受けられる
    オーナー企業では、私的費用と会社の経費の支払いが混同される例がよくあります。
    公私混同は、会社の金銭・物品への取扱いに対する従業員の意識をルーズにされる一因になりやすいといわれています。

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不正が起こりにくい仕組みをつくろう
社内で発生する不正の多くは、会社の金銭、物品の横領や着服など、いわゆる「使い込み」と呼ばれるものです。このような不正は、社内体制に内部牽制によるチェック機能を働かせることで防止することができます。

  1. 取引の処理は、必ず2人以上で行う
    事務処理や業務を1人の従業員にすべて任せることがないよう、複数の担当者を置くか、上司や社長が必ず確認する仕組みにします。定期的に担当者を交代させるなども防止につながります。

  2. ルールを明確にし、定期・臨時のチェックを徹底する
    担当者の複数配置や、担当者を定期的に交代させることが難しい場合は、金銭や物品、売上や仕入などの取扱ルールを定めて、定期・臨時のチェックを行います。

  3. 予算制度・月次決算を活用する
    予算制度や月次決算は、会社の業績管理のために行うものですが、予算と実績との差異分析や、前年同期や前月との比較から、異常な数値が見つかれば、その原因を調べることで、不正等の発見につながることがあります。


ケーススタディ:不正の事例とその対策例
不正が起こりにくい社内体制をつくるため、不正の事例を参考に、具体的な対策を検討してみましょう。

【事例1】金券類の不正な換金
経理担当者が、切手、収入印紙、商品券を必要以上に購入し、金券ショップで換金していた。税務調査で、収入印紙の購入枚数と使用枚数の確認調査が行われ、不正な換金が見つかった。

<対策例>
購入と管理を業務分担し、同一人物が行わないようにする。
金券類の購入枚数や使用目的などをチェックするために「受払簿」を作成する。
金券類の受払いの際には、払出管理者と使用者が受払簿に確認印を押す。
金券類の使用頻度が少ない場合は、ストックの上限を決めて購入する。


【事例2】在庫の水増し
商品管理担当者が、商品が複数の倉庫で保管され、管理が甘くなりがちなことを利用して、在庫品の横流しをしていた。
経理担当者が、在庫金額の異常な増加を疑問に思い、在庫集計表と各倉庫のたな卸表を突合したところ、帳簿の記載より実際の在庫が少なかったことから、在庫の水増しが見つかった。

<対策例>
出荷は、必ず営業責任者が承認した出庫指示書に基づいて行う。
実地たな卸には、経理部門の責任者が社長が必ず立ち会う。
実地たな卸の結果、数量不足があれば、その原因究明を徹底する。
倉庫管理者から不良品や破損・毀損等として報告された在庫は、経理責任者や社長が確認する。


【事例3】個人使用分のつけ回し
営業社員別の経費分析をした結果、個人的な飲食代を交際費として会社につけ回したり、カラ出張などが見つかった。

<対策例>
交際費や交通費の支出は事前申請とする。
予め、交際費の予算を役職別、個人別に決めておく。
交際費、交通費の仮払いの精算は、予め、1週間以内など短期間で行うようにする。


【事例4】仕入先からのリベート
仕入担当者が、仕入先からのリベートを会社に報告せず、着服していたが、仕入先の税務調査の反面調査をきっかけに、不正が見つかった。

<対策例>
「販売奨励金規約」や「リベートに関する覚え書」などを交わし、リベート額を書面で明確にしておき、内容は社長が確認する。
リベートの受取りを銀行振込にする。