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「利益向上作戦」4つの打ち手を考える

2017年6月12日

自社の収益構造を理解したり、様々なシミュレーションをもとに経営計画を立てる上で、変動損益計算書は有用です。4つの打ち手を組み合わせ、自社の経営力を高めましょう。
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最も営業利益を増加させる方法は?
社長:来期は、営業利益を今期(100万円)の2倍にする目標を定め、経費を削減する経営計画を考えています。

税理士:経費の削減だけではいずれ行き詰ってしまいます。
次の4つの打ち手の中で、最も営業利益を向上させる方法は、どれだと考えますか?

【利益向上のための4つの打ち手】
1.固定費を3%削除する(固定費の削減)
2.販売数量を3%増やす(販売数量の増加)
3.売上原価(変動費)を3%削減する(売上原価の削減)
4.販売単価を3%上げる(販売価格を上げる)

社長:どれを選択しても営業利益が増加するのはわかりますが...。

1.固定費を3%削減する
税理士:御社の今期の収益構造は、図表の「モデル収支」をもとにシミュレーションしてみましょう。
年間の経費支出(固定費)は、3,900万円ですから「1.固定費を3%削減する」(3,783万円)ことができれば、営業利益はほぼ2倍の217万円です。

社長:3%程度の削減であれば、経費の見直しは十分可能です。

2.販売数量を3%増やす
税理士:「2.販売数量を3%増やす」場合、売上は1億2,360万円、変動費は8,240万円になり営業利益は2.2倍(220万円)になります。

社長:固定費を削減しなくても、年間の販売数量を3%増やせば、営業利益は倍になるということですね。

3.売上原価(変動費)を3%削減する
税理士:次に「3.売上原価(変動費)を3%削減する」場合、粗利益額がモデル収支に対して106%(4,240万円)になり、結果として営業利益は3.4倍(340万円)になります。

社長:売上原価の削減は、仕入先との交渉になりますが、支払方法を現金払いにするなど工夫をすれば、実現できない数字ではないです。

4.販売単価を3%上げる
税理士:「4.販売単価を3%上げる」場合、売上原価(変動費)や固定費は現状のままでも営業利益はモデル収支の4.6倍(460万円)ということになります。

社長:同じ3%の努力ならば、4つの打ち手の中で、販売単価を上げることが営業利益を最も増加させる近道なんですね。

税理士:販売単価は利益の向上にとって、重要な要素です。
仮に、「モデル収支」で平均の「販売単価が1%下がったら」、営業利益は赤字(マイナス20万円)に転落してしまいます。
まず考えなければならないことは販売単価をいかに維持するかです。安易な値引きは慎まなけばなりません。
経営計画を立てる上で、一番重要なことは自社の商品やサービスの付加価値を高めて、設定した販売価格でお客様に購入して頂ける環境をどのように作り上げるかです。
販売数量を増やす計画よりも、商品やサービスの粗利益を増やす計画を立てて、実践したほうが多くの営業利益を生み出す結果となります。

粗利益の向上を全社で共有する
社長:粗利益を確保するためには、営業担当者だけではなく、仕入担当者や代金を回収する経理担当者まで、全社一丸となって粗利益額を維持し、向上させるという意識を共有しなければならないということですね。

税理士:今回は全社ベースで確認しましたが、主たる商品ごとのモデル収支を作成して、それぞれの原価(変動費)や販売価格を確認して目標数値を設定すれば、より具体的な経営計画をもとに経営力を高めることができます。