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社員の60歳以降の働き方を考える

2017年5月29日

社員が60歳を迎えると、以前は定年退職するというのが一般的でしたが、現在は、法令によって、原則として社員が引き続き雇用を希望する場合には、雇用しなければなりません。経営者は、給与、年金、雇用保険の給付等を考慮しながら、今後の働き方を検討する必要があります。

1.60歳以降の働き方
60歳を迎えた社員に対して、経営者は本人と話し合って次の3つを選択する必要があります。

  1. 引き続き正社員として、これまで通りの労働時間でフルに働いてもらう
  2. 労働時間を調整(時間短縮)して働いてもらう
  3. 退職する(新たな人材確保が必要)

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60歳以降の雇用については、社員の合意のもと、定年延長(60歳→65歳)、継続雇用、定年廃止などの制度をつくっていくことが必要です。一般的に、継続雇用制度(勤務延長、再雇用)を導入している企業が多くなっています。

(1)勤務延長
定年を60歳にしたまま、定年に達した労働者を退職させることなく引き続いて雇用する制度です。

(2)再雇用
定年に達した労働者を一度退職させた後、再び雇用する制度です。再雇用にあたって、労働条件を見直すことができるため、この制度を導入する企業が多いようです。


2.給与と給付、年金の組み合わせを考える
60歳を迎える社員は、通勤ラッシュ回避や趣味の時間を増やす等の理由で短時間勤務にしたい、あるいは勤務時間を減らさず数年は頑張って働きたい、など様々な要望をもっています。
そのような要望とも擦り合わせながら、社員の収入確保を考えた給与のあり方を検討しましょう。

●60歳以降の年金と雇用保険の給付による収入確保の手段

  1. 在職老齢年金(厚生年金)
    「在職老齢年金」とは、働きながら支給される厚生年金のことです。ただし、年齢と性別によって、支給開始年齢が異なります。(図表1)また、給与の額によって、年金の全額または一部がカットされます。

  2. 高年齢雇用継続給付(雇用保険)
    60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に下がると、雇用保険から「高年齢雇用継続給付金」が支給されます。
    支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額となり、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額となります。

仕事の内容や勤務形態を変える場合には、「給与+雇用保険の給付(+年金)」の組み合わせで給与を再設計する方法があります。

(1)「給与+高年齢雇用継続給付」の場合
現在は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢(65歳まで)の段階的引上げの途上にあり、例えば、平成29年5月に60歳になる男性(昭和32年5月1日生まれ)の場合は、年金支給が63歳からになります。(図表1)
したがって、年金支給開始年齢までの間、高年齢雇用継続給付の活用と合わせて、給与をどのくらいの額にするか検討が必要になります。63歳から給与を再設計することも可能です。

(2)「給与+高年齢雇用継続給付+年金」の場合
すでに年金支給開始年齢に達している社員の場合、年金の月額(基本月額)と給与の月額(総報酬月額相当額)の合計が28万円以下であれば、年金を全額受け取ることができます。
28万円を超えると一定の計算式に基づいて年金が減額されます。(図表2①)
なお、社員が65歳以上になると計算式が異なります。(図表2②)
高年齢雇用継続給付を受けている場合には、さらに年金の一部がカット(賃金額の0%〜6%が目安)されます。

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