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週40時間制の基本と働き方

2017年2月24日

政府において「働き方改革」の議論が進められています。その狙いの1つに、経営者と従業員が、労働時間や休日の基本を正しく理解し、長時間労働の抑制などに向けて協力して、社内体制を整備していくことがあげられています。

【週40時間労働とは?】
働き方を考える上で、まずは労働時間の基本について正しく理解しましょう。

(1)法定労働時間と所定労働時間
労働時間には、法定労働時間と所定労働時間があります。

  1. 法定労働時間
    法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限であり、原則として1週間につき40時間、1日につき8時間です。

  2. 所定労働時間
    所定労働時間とは、法定労働時間の範囲内で、会社が就業規則等で自由に定めることができる労働時間のことです。具体的には、休憩時間を除く始業時刻から終業時刻までの時間をいいます。例えば、9時始業、17時終業で、休憩1時間の場合には、1日の所定労働時間は7時間になります。
    休憩時間は、1日の労働時間に応じて、労働時間の途中に、原則として、一斉に与える必要があります。

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(2)法定内残業と法定外残業
所定労働時間を超えると残業になり、残業代の支給が必要になります。
所定労働時間を超えて法定労働時間内(1日8時間)まで働いた場合は「法定内残業」となり、さらに法定労働時間を超えて働いた場合は「法定外残業」となり、この場合は、一定割合以上の割増賃金を支給する必要があります。

(3)変形労働時間制の活用
1日8時間、1週40時間といっても、業種や業態によっては、1ヶ月や季節によって繁忙期と閑散期が異なり、例えば、月の後半に仕事が集中し、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員が働くような場合、会社には残業代の支払いが発生します。
このような自社の特徴に合わせて、1週間、1ヶ月、1年という単位で見て、1週間あたりの平均労働時間が週間40時間以内であれば、1日または1週間の労働時間の上限を超えることが認められる変形労働時間制があります。

  1. 1ヶ月単位の変形労働時間制の活用
    例えば、月の前半は閑散期のため週40時間に収まるが、後半の2週間については繁忙期となって週45時間になるような企業の場合、月の後半に合計で10時間の残業が発生し、会社は残業代を支払う必要があります。
    このようなケースにおいて、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用して、月後半の2週間の所定労働時間を週45時間として、その他の週の労働時間を短くすることで、1週間の平均労働時間を40時間以内にするという柔軟な対応が必要です(就業規則や労使協定の締結が必要です)。
    この場合、週40時間を超える10時間について、残業代の支払いは発生しません。

  2. その他の変形労働時間制
    1ヶ月単位の変形労働時間制のような一般的な方法のほか、1年単位の変形労働時間制などもあります。
    これは、閑散期の休日を増やして、繁忙期の休日を減らすなど、休日の取り方と合わせて、平均で週40時間内に収めようというものです。
    ※変形労働時間制については、改めて取り上げます。



【パート従業員の活用も検討する】
平成29年度税制改正によって、平成30年から控除対象配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き下げられます。そのため、これまで収入が103万円以内に収まるように労働時間を抑えていたパートに、収入150万円以内まで働いてもらうことで、パートの労働時間を増やして、その分、正社員の残業時間を減らすなどの方法も考えられます。

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◎長時間労働抑制への取り組みが進む
日本経済新聞が行った経営者へのアンケート(平成28年12月8日付)によれば、具体的に次のような取り組みが行われています。

  1. 管理職の意識改革
  2. ノー残業デーの設定
  3. フレックスタイム制度の導入・拡充
  4. 研修などによる従業員の意識改革
  5. サービス残業の撤廃
  6. 残業の事前許可制の導入・徹底

長時間労働の抑制は、ただ「残業を減らそう」というかけ声だけではなく、全社一丸での具体的な工夫と努力が必要です。